“ママじゃない私” ポートレート

いつものあなたの、いつもと少しだけ違う顔。いろんなママたちの、「ママじゃない顔」ポートレート。

特別編:デンマーク研修レポート(下)私たちも変われるかもしれない


前の記事、 「特別編:デンマーク研修レポート(上)デンマークってどんな国?」の続きです。

 

茉莉ちゃんのレポートで、もっとも驚き、また印象深かったのは、

デンマークは4時には既に帰宅ラッシュで、
5時ごろには家族が帰宅し、そろって夕食を食べるのがあたりまえ

ということでした。

自動車税が高いこともあり、コペンハーゲンでの主な移動手段は自転車。
専用の自転車道が整備され、子どもを乗せる前カゴ(デンマークは寒いのですっぽりと覆うボックス仕様)つきの三輪自転車で通勤する男性も多いそう。

 

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コペンハーゲンの通勤ラッシュ)

 

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(カメラを向けると恥ずかしがって顔を背けた子を見て茉莉ちゃん、うちの子と同じだなーと思ったそうです)


報告会に同席されていた、福岡ジェンダー研究所理事の倉富史枝さんが

男女共同参画の問題に長年取り組んできたけれど、結局は労働問題に帰するように思います」

とおっしゃっていたとおりですね。

保育所や教育やシングル家庭・・・いろいろな問題がありますが、
結局は、働く環境や働き方が変わらなければどうしようもないよね、って話なんだよな。



さて、わたくし。
この「ママじゃない私、ポートレート」を2年半やってきて、
特別編も含めれば、25人以上の方々にインタビューさせてもらいました。

始めたきっかけは、

「子どもを産むと、「○○ちゃんのママ」と認識され、呼び合うこともあるけど、
 一人一人のお母さんにはそれぞれの個性や生活があって、
 年齢も出身地も趣味も性格も、学生時代や独身時代にやってきたことも、全然違う。
 そういう姿を写して、話してもらったら面白いんじゃないかな。」

という気持ちからでした。

多様性を描き出す企画にしたかったんです。
実際に、多様性、出てるよねって思います。
色とりどりのパレットのように。

いろんな人に話を聞けば聞くほど、いろんな人がいて、いろんな人生があるなーと思います。

けれど最近、同時に、

人々はこんなに多様性に富んでいるのに、社会の枠組みはとても窮屈で強固なものだな、

とも思うのです。

結婚や出産で仕事を辞めている人が本当に多い。
将来的にも、家庭との両立を考えるとやっぱりパートタイマーかな、とか。
ええ、企画者である私やちひろちゃんからして、そうなのです。

私自身もそうですが、専業主婦であることを本人が不満に思っているわけじゃない。
「もともと大した仕事をしていなかったし、仕事の能力が高い人間じゃないし。」
・・・と、多くの人が言います。

でも、家事や育児にだって、
段取りや忍耐力、対応力やコミュニケーション力など、
かなりマルチな能力が必要ですよね。
そのうえ、PTAなど煩瑣な「お仕事」を立派にこなすママたちもたくさんいます。

 

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茉莉ちゃんのレポートで興味深い話がありました。

就職の面接の場面での実験。
 「男性と女性が、まったく同じ履歴書を持ち、まったく同じ発言をする。
  面接官の反応は男女で全く違って、
  男性と同じように振る舞う女性は傲慢で売り込みすぎだと評価され、
  採用は男性に決まる。」

 

うわー、現実にありそう!

学校を出て就職する段階で、
男性と女性は既に、はっきりと区別されているんですよね。
女性に割り当てられるのは、補助的な仕事だったり。

女性のほうもそれが当たり前だと思っていて、
能力があっても、目立つのを避けて遠慮しがちだったりする。
そして、結婚し、出産し、職場を去る。
持てる能力を発揮できる機会がないままの人も多いんじゃないかな。


「私は専業主婦でいい。外の仕事より家の中の仕事の方が好きだし、
 子供の成長をじっくり見ることができる」

という意見もあり、これまた私もそうなんですが
(いや、別に家の中の仕事が好きなわけでもないな…←ものぐさ人間)、

それが女性の特権のようになっている社会の実態はどうなんだろう?とも思うのです。
男性の、いわゆる専業主夫の人もいるでしょうが、女性に比べると、きっと肩身が狭い思いをすることも多いじゃないかな。

私自身、「ママじゃな」みたいな企画をやったり、
子どもの幼稚園の行事や放課後の時間にかかわる時間は楽しいものですが、
その分、私の夫が外で働いていて、つまり夫には、そんな時間も機会もずーっと少ないわけですよね。
なんかごめん・・・って気分にもなります。

だって、子どもが小さくてかわいいのは、人生の中ではわずかな期間なのに。

夫も妻も両方が、家事にも育児にも仕事にも、半分半分くらいでかかわれたらいいなと思います。
いや、人には向き・不向きがあるから、必ずしも半々じゃなくてもいいけど、
男性は外働きが当たり前だよね・・・家族の世話は女性メインの仕事だよね・・・みたいなのが暗黙の了解のように共有されるんじゃなくて、
個々の家族、それぞれの希望が叶いやすい社会だといいなー、と。

 

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実際は、ママじゃな のインタビューで聞いていても、周囲の知人友人を見ていても、
仕事をしている・していないにかかわらず、
家事や育児の作業の大部分を妻のほうが担っている夫婦がとても多い。
残業や休日出勤が多いダンナさんもたくさんいます。

そして、それをみんな「しょうがない」「当たり前」だと思っている。
多かれ少なかれ、みんなそういう中でがんばってるんだから。
もう慣れてるから。
夫に仕事があるだけ有難い世の中だから、と。
たまたま夫の理解や協力が得られている女性は、「私はラッキー」「恵まれている」と言う。

もちろん、受け容れざるを得ない現実があるわけです。
夫(自分)の職場の環境なんて、変えられないし。
とにかく夫がいなかろうが何だろうが、家事育児を回さなきゃいけない。
毎日忙しくて、あれこれ考えるヒマも余裕もないですよね。

でも、個人の生まれや育ち、性格や価値観はこんなに違うのに、
この社会のあり方への態度は、驚くほど共通しているんだなあと、考えてみれば不思議です。
ある意味、子どもの頃から、「それが普通だ」と刷り込まれているのですよね。

 


だから、茉莉ちゃんのデンマーク報告がとても響きました。

4時に帰宅ラッシュ。家族そろっての夕食。休日。
保育所が足りないなんてことはない。
教育費と医療費が無料。

そんな社会も存在してるんです。
私たちは、それを望んでいいんだと思いました。

しかも、それは、デンマークの伝統的風景ではありません。
人々の願いが結びついて、この数十年間で実現してきたことなのです。

倉富さんは、
「家族が愛情を持てる社会づくり」とおっしゃっていました。

家族だから愛し合い助け合うのが当たり前なんじゃない。
保育や医療、介護の環境が充実していて、家庭の中で何もかもを背負わなくていいから、家族が仲良くいられるのだ、と。

子どもたちが子育てをするときには、
変わっていってほしいなと思います。
これは、分不相応で贅沢な願いじゃないはずだ。

私たちが「今のままでいい、しょうがない」と思っていれば、
子どもたちの時代にも、変わらないでしょう。

変えていきたいんだと思って、
そういう目で政治を見つめ、参加していきたいなあ。

政治参加って大ごとのような気がするけど、
茉莉ちゃんも言ってました。

「専業主婦の私が、こんな研修に参加していいのかなと思った、実際に専業主婦は私だけだった。でも、本当はそれが政治参加だし、男女共同参画

広い世界を知ることって大事ですね。
地に足のついた生活は大事だけど、身の回りだけを見ていると、どうしても固定観念にとらわれてしまいます。

知ることが、第一歩。
そう思いながら、新しい年齢を始めたのでした。
・・・そうっ! この日、私の誕生日だったんです!!
またひとつ大人になったとですたい。

長い文章を読んでくださった方がいたら、ありがとうございました。
茉莉ちゃんにも、報告会に携わった皆さまにも、ありがとうございます。

 

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特別編:デンマーク研修レポート(上)デンマークってどんな国?

 

こんにちは、秋ですね~! さつま芋大好き、エミです。

ポートレートの vol.17 に登場してもらった 稲生茉莉子ちゃん が、デンマーク研修の報告会を開いたので参加してきました。

 

幼稚園のママ友として知り合って、園で毎日のように会ってる彼女が、町の「男女共同参画推進センター」で何十人もの聴衆を前に立派に報告する姿に感動でしたよぉ。

本人は事前に「テンパり倒してどうなるかわからない」的なことを言っていましたが、何をおっしゃるうさぎさん!(古) 

はっきりとわかりやすく、なおかつ気負わない自然体のお話ぶりはとても聞きやすく、内容は豊富で、とても実りある時間でした。ありがとう。

興味深く感じる人もきっと多いと思うので、1時間にも及ぶ茉莉ちゃんの発表のうちのほんの一部になりますが、ここでシェアさせてもらいますね。

 

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(司会の方に紹介されている間、はにかんでいる茉莉ちゃん。)




茉莉ちゃんが参加したのは、福岡県が実施している海外研修事業「女性の翼」です。

男女共同参画社会づくりを推進するために行われていて、行き先は毎年違うらしく、2015年度はデンマークに一週間。
20人ほどの研修団員の中で、専業主婦は彼女だけだったそうです。

 

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(しかもこのとき、まりちゃんは3人目の赤ちゃんを妊娠中でした。悩んだけれど、安定期だったし、周囲の励ましやサポートに背中を押されて飛び立ったそうです!)

 


デンマークは九州とほぼ同じ大きさ、人口は約566万人で福岡県とあまり変わりませんね。

国会は一院制で179議席、任期4年。議員の平均年齢は45歳。
投票率は、なんと86%!

一期のみ務める人も多いそうなのですが、これには理由があって、
職場に休暇を申請して議員になる場合も多いからなのだそうです。

さらに、地方議員については報酬は時給制(議会の開会期間中など)。
多くの議員は自分の仕事を続けながら、夕方から開催される議会等に出席して務めます。
それでいて、インフラや教育など地方議会の裁量で行われることは非常に多いそうです。

国民一人当たりのGDPは 52,114 USドル、世界8位。
(ちなみに日本は 34,870 USドル、世界26位です。ともに2015年、IMFのデータより)
(日本って…生産性高くない国なんですね…)

 

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(レゴ発祥の地でもあります!)


女性の参政権が認められたのは1915年(日本は戦後、1945年ですね。)
出産育児休暇の取得や選択的夫婦別姓の権利、男女平等推進大臣の選出など、
だいたい日本の20~30年先を常に走っているイメージですね。

所得税率は55%、消費税率は25%と非常に高いのですが、国民幸福度は世界一!
「税金は国民に還元されている」という意識が強いのだそうです。

これはつまり、

「税金は無駄なく使わなければ」

という意識にもつながっていて、
たとえば医療費は無料だけれど、医者は風邪薬はほとんど出さない。
歯科治療は18才以上は有料。(逆に、子どもは校内にある診療所で虫歯治療をする!)
胃のポリープ除去の手術や、胃ろうはしない。
など・・・。

そういったことに税金を使うより、教育や福祉に使おうという感覚が共有されているそう。

だから、子どもの相対的貧困率は世界一低い
4%ですってよ、奥さん。
日本は、今や6人に1人の子どもが貧困状態にあるといいますよね…。ひとり親家庭貧困率は、実に50.8%。
離婚率は、デンマークのほうがずっと高いんですよ。
女性の就労率の高さと医療費・教育費無料によって、貧困に陥る家庭が少ないそうです。

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茉莉ちゃんたち研修団員たちは、男女共同参画を推進する公的機関や、民間団体、
ワークライフバランスに取り組んでいるデンマークの大企業などを訪問。

それらのレポートの中で私にとってとりわけ印象深かったのは、


1.デンマークでは、市民の社会参加・政治参加が特別なことではない!

前述した、兼業しながらの地方議員たちもそうだし、
移民や難民など外国人女性のメンター(指導・相談員)を務める女性たちもボランティア。
公的機関「KVINFO」には3,000人ものメンターが登録しているそうです。

茉莉ちゃんも言っていましたが、
こういうことができるのは、助け合いの意識があるのも当然ながら、
仕事をしながら社会参加できる時間的・精神的余裕があるからですよね。

 

2.デンマークでは、選挙活動がスマート!

デンマークでは大きな音を出す選挙活動は禁止されているそうです。
日本でおなじみの、うるさくがなりたてたり、妙な歌を流す街宣カーなんて、どこにもない世界なのです! 

民間団体「Women's Council」では、 女性議員を増やすことでよりよい社会を作ろうという信念のもと、政党にかかわりなく女性立候補者を支援する取り組みを行っているとのこと。

彼女たちが行った選挙支援活動は、「ウォーキング&トーキング」
ショッピングモールで花を配ったり、
カフェでお茶を提供して市民と話したり、
メディア関係者を招いてボウリング大会をひらいたり。

ああ、静かな選挙。うらやましい。


3.デンマークはカジュアル&おしゃれ!

街並みはもちろん、
男女共同参画センター」のような固い機関や、性暴力被害者のシェルターのような場所*1も、
美しく洗練され、かつ暖かみのある外装・内装。
どの研修先でも、手作りのお菓子やハーブティなどで心づくしのおもてなしを受けたそうです。

トイレが日本より綺麗かも、という話にはびっくり!

研修先で出会った女性たちも、皆さんおしゃれな装いで明るく働いていて、
要職にある方がワンピースとスニーカーというカジュアルな恰好で応対していたり、
妊娠中の若い女性職員が堂々と視察団への説明を行ったり。


・・・長くなってきたので、次の記事に続きます。

 

>>次の記事:デンマーク研修レポート(下)私たちも変われるかもしれない


 

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*1:オープンスペースのみの観覧

vol.24 おかじぃ の 「ママじゃない私」 ポートレート

 

 

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1歳の息子ちゃんのママ、おかじぃ。私(インタビュアー・エミ)は会うの3回目くらいかな?
はじめ「ママじゃな」に出てみませんか~!とお誘いしたとき、「えっ、私、何も話せること…」っていう素振りもあったんだけど、「考えてみたらこんな機会なかなかないし」と引き受けてくれました! 
お話聞いてみるとホントに面白くて、いつもながら「何もないなんて人はいない!!」と世界の中心で叫びたくなる私です。そして、おかじぃったら料理がとっても上手…☆

  

◆宮崎出身、三姉妹の末っ子です

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―――お姉さんたちと、割と年が離れてますよね。

上が9歳差、下が6歳差です。

―――それで、「生意気な子だった」ってアンケートに書いてあったけど、生意気ってどんな感じだろ。

「関係ないじゃん」とか言ったり。保育園生で(笑)。

―――(ちひろ)いるいる、そういう子(笑)。

姉の影響でそういうこといろいろ言ってたんですよね。

―――私も姉と5才差だから、わかります。真似するんだよね何でも。お姉さんたちにはすごくかわいがられてたんじゃない?

いやー、けっこういじめられてましたよー(笑)。

―――あら。じゃ、鍛えられたのかな。同年代の中では強かった?

あー、そうですね。口喧嘩では勝てない、みたいに言われたりして。小学6年のとき、班替えのあと廊下を歩いてたら、「私、○○さんと一緒の班になっちゃった」っていう声が聞こえてきて、「あ、やばい。私嫌われてる」って思って、それから変わりましたね。人の目を気にするようになりました。

―――おかじぃが悪かったかどうかは別にして、それ聞いちゃったのはけっこう大きな出来事ですね。

自分が言ったことはすぐ忘れちゃうけど、言われたことってずっと覚えてるんだろうなって思って。ひどいこと言っちゃったのかな、って。

―――自分が変わったことで、周りも変わった感じはありました?

中学生になって、友だちの顔ぶれが変わった気がしますね。それから仲が良い子は、ずーっといいですね。

―――親御さんはどうでした? 末っ子って、親にとってはいつまでも一番小さいかわいい子だと思うけど。

親はかわいがってたんだろうと思います。姉たちも、親が私にだけは甘い、みたいなこと言ってましたね。でも、私は厳しいと思ってました。母は特に。

―――厳しいってのはどういう方向で? しつけとか?

そうですね。高校の時にストレートパーマが流行って、みんなやってるから私もこっそりかけたんですよ、お小遣いちょっと足して。そしたら、母がはさみを持って追いかけてきた。

―――えーーっ!

「パーマかけて学校に行くなんて! そんな子に育てた覚えはない!」って(笑)。

―――(ちひろ)ストパなんだけどね(笑)。

そう(笑)。「とってきなさい!」って言われて泣く泣く行ったけど、「え? ストパをとる?」って感じで。

―――むしろ、巻くしかなくない?みたいな(笑)。

結局、ベリーショートぐらいに切って許しを得ました(笑)。

 


◆初めて自分で選んだ王子さま(笑)

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―――中学時代は小沢健二一色だった、とのことだけど、私も小沢くん大好きなので、ここはぜひとも聞いときたい! アルバム『LIFE』が私の高校時代だから、そのころおかじぃが中学生だよね。

そうですね。中学1年か2年のとき、友だちがカラオケで「それはちょっと」を歌ったんですよ。

―――ほうほう!

―――(ちひろ)すごいね!!

「あ、何この歌、すごくいい~」と思って。あの歌、カップリングじゃないですか。で、そのシングルを買ってきて、両面聞いたときに、「なんていいんだ!」と思って、それからバーッと買いそろえていって。

―――うんうんうん。

それからずっと好きでしたね。

―――なんか、それまで聞いてた歌と違うよね。たぶん。

ですね。それまでは、米米CLUBとか聞いてたから。姉が好きだったので。

―――わかる! うちの姉もそうだった!!

ずっと姉の影響が大きくて、だから初めて好きになったアーティストっていうか。

―――初めて自分で選んだんだね。

そうですそうです。それがオザケン

―――本人のことも好きでした? 「おざわくーん!(ハート)」って。

うんうん、王子さまって・・・(笑)。

(おかじぃ・エミ同時に) 「子猫ちゃんになりたーい!」 笑笑笑)

―――小沢くんは何年かでパッタリ表舞台から姿を消しちゃったけど、そのあとはどんな音楽聞いてた?

えーっと、高校まではずっとオザケン一色で、そのあと就職してからGLAYになって。

―――おーっ、また何か変わったね。オザケンからそこにいくとは、なかなか意外な(笑)。

JIROちゃんが好きだったんですよ。

―――あー、ちょっとかわいい系の。

そう。だからちょっとつながってたのかな。

―――すごく流行ってたよね。当時。

北九のGLAY EXPOとか行って、えらいハマってましたね。

 

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◆18才、放たれた鳥!

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―――高校出て就職して、それが・・・。

福岡です。

―――わーっ。すごいねー。

―――(ちひろ)すごい!

―――18才で宮崎から福岡に出てくることには、全然抵抗なかった?

まったくなかったです。早く出たくて。

―――抵抗どころか、むしろ出たかったんだ。

周りを変えたいって思ったんですよ。何か違うコミュニティの中で暮らしたい、全然自分を知ってる人がいないところに行きたいと思って。

―――親御さんは、福岡でもどこでもいいよ、って感じでした?

配属されたならしょうがないねというか。割と堅い職種の、しっかりした会社だったし。

―――じゃ、もう、最初から一人暮らしですか?

そうです。

―――すごいねえ。でも楽しいよね~

楽しかったーーー!!

―――うきうきするよねー。初めての一人暮らし。

何やっても自由だ―!と思って。

―――でも、ちょっと里心ついて、淋しくなったこととかなかったですか?

いや全然。もう、放たれた鳥のように。ピュー!って。

―――のびのび(笑)。仕事も全然大丈夫だった?

仕事は大変だったですね。覚えること多かったし、ちょこちょこ変わるし。でもそれより、アフター5楽しかったなー、てことしか、ほぼ記憶にないです。

―――最初っからお酒が強かったの?

なんかそうだったみたいですね(笑)。

―――そんなにも飲むって知らんかったよ。飲み会好きって、誰とそんなにしょっちゅう飲んでたの?

うーん、自分の友だちとかもあり、会社もあり・・・

―――飲むのが好きなん? それとも飲み会の「会」的なのが好きなん?

なんだろう(笑)。テンション高くなって騒ぐのも好きだったかな(笑)。楽しかった。飲み会はいっつも、必ず最後までいましたね。

 


◆料理人生の原風景

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―――お料理はいつからしてたんですか?

かなり前からですね。うちの両親は共働きで・・・最初に作ったのは、きゅうりを使った料理だったんですよ。小学1年か2年だったと思うんですけど、土曜日の午前中授業の日に。
火を使っちゃダメといわれてたから、扱えそうなのがきゅうりしかなかったんです。そのとき私きゅうり苦手だったんですけど(笑)。


―――苦手なもの使ってでも料理してみたいと思ったんだね。

みじん切りにしてみたり、長いままとか3,4品・・・切っただけですけどね(笑)。しょうゆをかけてみたりとか。で、母が仕事から帰ってくる時間に合わせて、陽のあたるところにアイロン台を出して、並べて、2人で食べた記憶があります。

―――アイロン台を、陽のあたるところに。

台がないなーと思って。食卓じゃなくて、家の中でいちばん陽があたるところに、なぜか持って行って。

―――なんか、思い浮かべてみると、すごくあったかい、いい光景だね。

全部きゅうりなんですけどね(笑)。

―――でもお母さんすごーく喜んでたんじゃない?

うん、お母さん喜んでた。

―――いい思い出だ~。

それからいろいろやるようになって、学校の調理実習とかでも、なんか勝手に食材持っていってアレンジしたりしてましたね。

―――そのころにはもう、かなり作れるようになってたんだね。お母さんかお姉さんに習ったりしながら?

いや習ってないですね、自己流。

―――その自由にできる感じが楽しかったのかな。

母が忙しかったから、食べたいものは自分で作る感じでしたね。

―――独り暮らし始めたときは、もう最初から普通に自炊してた?

やってました(即答)。

―――そっかー。そこから初心者スタートする人が多い中でね。でも、自分のキッチンってやっぱりうれしかったんじゃない?

はい! 2口コンロがおけるところで部屋を探して。最後、そこを引っ越す時に、ガスの検針の人に「あなたはちゃんと料理やってたでしょ」って言われました。単身者向けのマンションだったんですけど、「ここだけいつもメーターが伸びてるから」って。

 

 

◆食事を作る、食事を考える。

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キッチンに立って、お昼ごはんの用意をしてくれてる、おかじぃ。
を、ワクワク見てる私たち。すみません・・・でも、達人の技を垣間見るのが楽しい!

 

―――やっぱり、普段やり慣れてることをする姿って綺麗だよね。

―――(ちひろ)座ってお話してるときの綺麗さとは、また違うんだよね。

―――たぶん、やり慣れてることって、無駄がない動きをしてるから、美しく見えるような気がする。
料理をしない日は、ある?

ないですね。(←サラッと)

―――(ちひろ・エミ)わあー!

―――したくない日、ないと? したくなくならない? 「んもう、今日はせん!」って。

いやあ~、ないかな~。なんか作ってますね。絶対。簡単なものでも。

―――(ちひろ)料理が苦痛に思うとき、ない?

うーん、ない(笑)。

―――おかじぃは野菜ソムリエの資格を持ってるんだよね。いつ取ったの?

就職して6年半福岡で働いて、転勤で宮崎に戻って働いてるうちに、「このままでいいんだろうか?」ってふと思ってしまって・・・

―――25才くらいだね。

仕事にそんなに愛着があるわけでもないし、レセプト(医療報酬の明細書)で病名をずーっと見る仕事も、しんどくなってきて。それじゃ何をやろうかなと考えたとき、とりあえず野菜ソムリエの資格をとろう、とって辞めよう、でカフェを開こう!と思って。とって、やめました。会社を。

―――自分でごはんを作って出すカフェってこと?

そうですね。野菜料理のカフェがしたいと思ったんですけど、やっぱり勉強するにつれ、現実は厳しいぞと。出店となるとやっぱりお金もかかる、とっても。

―――「お店やろう」まで考えること自体すごいよね。

なんか、人が食べてるの見るの好きなんです。

―――へー、それはまさにお店の人の適性あるね!
それから、すごい人気のパスタ屋さんで働いたり、マクロビのお店でも働いてたよね。マクロビはやっぱり魅力的だった?

面白かったですね。肉を食べないっていうのがまず衝撃的だったし。当時はいろいろ勉強したりしてましたね。

―――でも、今はそこまで厳密にやってないと聞いて、今日は普通のおにぎりとかパンとか持ってきましたが(笑)。

子どもができてから主人ともいろいろ話して、自分が本当にマクロビをやりたいのか、できるのかって考えたんですけど・・・。子どもに「どうしてマクロビしてるの?」って聞かれたときに、ちゃんと答えられるのかなと思って、ちょっとゆるくいこうと。

―――なるほどね。身体にいいことをしてるはずだけど、子どもにしたら、みんなとどうして違うのかわかんなくて、逆に生きにくくなるかもしれない・・・。

とりあえず、なるべく普通に育てていこうかなと思って。

―――あんまり、あれはダメ・これはダメって感じになりすぎるのもね。

―――(ちひろ)「これはいい」なら、まだいいんだろうけどね。「野菜はいい」とか。

―――大きくなって子どもが自分で選ぶならそれでいいんだよね。マクロビでも何でも。とにかく、今の時点から、そういうことをちゃんと考えて話し合ってるのがすごいなあ。

  

◆子どもは育つ、どうやっても。

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―――「母乳育児がうまくいかなくて」って書いてあったよね。今は息子ちゃんもこんなに元気に大きくなって、どうやっても子どもは育つっていう実感もあると思うけど、そのときは相当つらかったんじゃない?

もう、ほんと毎日、涙が出て。なんでおっぱいをあげられないんだろうと思って・・・

―――あー・・・つらいよね・・・。

この人、こんな感じ(息子ちゃんは離乳食をもりもり食べる子です!)だから、いっぱい飲みたいのにこっちはあんまりでなくて、需要と供給が全然バランス取れてなくて。

―――(ちひろ)焦ると余計にね・・・。

だんだん、この子が、おっぱいを見るのも嫌になって。授乳体勢にしただけで、のけぞって大泣きするんですよ。

―――あああ、つらい・・・

助産師さんは、「大丈夫大丈夫、何度でもくわえさせて」って言うけど、子どもは泣き叫んでるわけじゃないですか。あーもうだめだーと思って。

―――それが、どれくらいのとき?

生まれてすぐからそういう感じだったんですけど、やめたのが4ヶ月くらいだったかな。

―――そっかー・・・。つらかったね、4か月間。

お母さんが授乳してる画像って、幸せそうじゃないですか。そういう気持ちを味わいたかったな、ていうのはありますね。

―――でも、ほんとよく食べる子だよねー。

こういうことだったか、って思います。量が必要。

―――(ちひろ)だから、ここに生まれてきたんだよね。

―――そうだよー美味しいもの、どんどん作ってくれるから。「妊婦時代の理想の子育てにこだわらなくなった」って書いてたのは、母乳をやめたのとも関連してる?

そうですね、なんかもうどうでもよくなってきて。オーガニックコットンの肌着とか・・・高ェ高ェって。

―――だよね(笑)。

布おむつもやってみたけど、「何を血迷ってるの」って一番上の姉に言われて。

―――(笑)

「この時代よ」って。「しかも、おっぱい出らんで大変で、あんまり寝てないのに、布おむつなんか洗いよったら大変やろ」って、紙おむつ送ってくれて、それからずっと姉が。

―――えっ。今も? 1年以上?!

「私がずっとおむつは送るから」って。

―――えーっ。すごい! やっぱりかわいいんだね、心配なんだね、妹が! いいお姉さん~!

 

 

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(おかじぃが作ってくれた離乳食後期・お子様ランチ風 ! 私も息子の残りをいただきましたがすごく美味しかったです。そして・・・おかじぃの息子くん(1歳2カ月)はこの量をペロッと平らげていました!すごい!このご飯を食べに彼はここに生まれて来たんだよね、きっとそうだ! By 橘)

 

◆いろんな時代を経て、夫の視点も得て、今。

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―――ダンナさんは高校の同級生だったんだよね。

はい。彼と結婚するっていうのが、本当に思ってもみなくて…

―――(笑) あ、ずっと付き合ってたんじゃないんだ?

5年くらい前からかな? 卒業してからも遊んではいたんですよね。で、彼が転職して福岡で働き始めて、久しぶりに会ったとき、私マクロビのお店で働いてて、ショートカットでほとんど化粧もしてないような感じだったんですけど、それがなんか良かったみたいで。

―――良かったんだ(笑)。

けばけばしい金髪パーマの私よりも・・・

―――えーっ、けばけばしい金髪パーマのおかじぃがいたの?! 衝撃やね。今日いちばん驚いたかも(笑)。想像できない!!

ピンクの爪で、ハイヒールで(笑)。それが彼はイヤだったらしくて、そのとき初めて「今がいいよ」って言われて、で、なんか付き合い始めて。

―――ひゅううう! 「自分が感情的だけど主人が冷静なので助かる」って書いてたよね。おかじぃ、いまお話してるととても冷静で理知的な感じだけど。

いやー、感情的になりますよー。特に夫婦で話し合いするときとか。話し合うときは感情的になっちゃいかんと主人には言われます。

―――む、難しい。感情は入るよー。人間だもん。ご主人は感情を排して話し合ってる?

そうですね。ちょっと変わってるんですよね。彼は100%じゃなくて50%がいい、っていう性格で。100%でやったらダメなんだって。そういう理論らしいです。

―――へえー、すごいコントロール力! でも、意識的にそうしてるってことは、もしかしたら、ストッパーを外したら、本当はとても情熱的で一直線な性格なのでは・・・? 

―――(ちひろ)結婚生活とか、子育てにあてはめると良さそうな理論だね。余白があって。

―――そうだね、一時の感情で自分を見失わずにいられるよね。
結婚して、自分と全然違う人と一緒に暮らすって、自分も変わるっていうか、一人の時とは違う視点で物事が見られたりして、新しいものが見えてくるのかもねー。

そうですね~。私にはちょうどいい人なのかな(笑)。



(おわり)

 

 

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【編集後記】

インタビュー:イノウエ エミ
おかじぃの印象は、透明感。体にいいもの、体が喜ぶものを日々作って食べている人の健やかさ。お話を聞いていてその印象が強まっていただけに、金髪ソバージュ話には驚きました(笑)。いや~、人に歴史ありですね! 

ここに載せた以外にも食に関する話をいろいろ聞いて、面白くて。食事って身近なことのようで、突き詰めて考えていくと思想になるんですね。食べることは生きることに直結していますもんね。
だからこそ、「もっと良いものを・もっと理想を高く…」となるのもわかるのですが、おかじぃは、野菜ソムリエやマクロビオティック、いろいろ勉強して仕事もしたうえで、いろいろ考えて話し合って、「ちょっとゆるく」を選択。その“意志のある、ゆるさ”も1つの立派な思想だと思いました。

「飽きっぽくて何でも続かないんですよ~」と自分では言ってたけど、「料理したくたくない日がない」ってすごいよね! 今は育児日記も続いているそうです。きっと、本当に大事なものを、もう見つけてる人なんだって思います。

お料理ほんとに美味しく、きびきびと立ち働く姿もすてきでした。ごちそうさまでした! そして、そんな彼女に「お酒大好き~! 飲み会大好き~! 最後までいます~!」みたいな一面があるのもすごくいい(笑)。人は多面体ですね。

 

撮影:橘 ちひろ

色々あって、遅くなってしまい申し訳ありませんでした~(汗)
おかじぃのポートレートどうでしょうか?一枚目は私がビビビッときた写真です。このはにかみ笑顔、見た瞬間こちらまでニンマリなってしまいました。大人の写真ではなかなかないことだと思います。
美味しい美味しいお食事の後、屋外でも写真を撮ろうと思っていたのですが息子さんがお昼寝に入ってしまったので今回はもうこれで作成しようということになりました。こんな感じが無理なくて良いなと思います。こんな感じが子育て世代に必要な余白かもしれない・・・ふんわりとした余韻を感じながらバスで帰りました。

インタビューは健康や食事の話のとこなどたくさん話に入り込んでしまいました。エミちゃんが上手にまとめてくれて目立たなくしてくれていますが。質問がどんどん出てくる自分の口に驚くほどです (笑)。
おかじぃのごはん、本当においしいのですよ。(今度飲もうねー!笑)

 

 

番外編: 迷惑かけたりかけられたりですよ

 

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(撮影 橘ちひろ

こんにちは。
幼稚園児と過ごす夏は暑い! スイカが手放せない2016サマー! エミです。

 

◆人に迷惑をかけたらいけないけれど・・・

 

「人に迷惑かけちゃいけません」
家庭でも学校でも必ず教えられることですよね。
みんなが深く心に刻んでいて当たり前にそう思っていることは、
礼儀正しさや順番を守るみたいな、日本人の美徳につながっているのだろうとも思います。


けれど母親になると、それ以前に比べて、
「今、迷惑かけてるかも…」と思う場面は、何倍にも増えますよね。

子どもがもっと小さかったころ、外から帰るとぐったり疲れていたのは、
抱いた子どもやたくさんの荷物の重さのせいだけではなくて、

人様に迷惑をかけないよう
白い目で見られないように 

無意識のうちに気を張っていたからだと思います。

当時はそれを「しょうがない、みんなこうやって頑張ってるんだ」と思っていました。
でも、本当にそうなのかな?
みんながそうやって頑張るから、変わらないんじゃないかな。



思い出すのは、以前読んだ本で宮崎駿が言っていた言葉です。

他人に迷惑をかけないなんてくだらないことを誰がいったのか知らないんですけれども。
人間はいるだけでおたがいに迷惑なんです。
そう思ったほうがいい。
お互いに迷惑をかけあって生きているんだというふうに認識すべきだってぼくは思う。

 

本当にそうだなと思って、
それからずっと、この言葉が胸にあります。


バスを降りるときベビーカーがもたもたしてたら迷惑かもしれませんが。
そこにいた人がサッと手伝えば済むんじゃないかな。

子どもが泣いてぐずるのに居合わせればうるさくて迷惑かもしれませんが。
(そのうるささがいかにしんどいか、当の母親が一番よくわかっております…)
「いいよいいよ、子どもだからしょうがないよ、大丈夫だよ」って目で見てもらえたら。

出かけるのはもっと楽になりますよね。
子育てはもっと楽になりますよね。


そうなったらどんなに楽か。
どんなに優しい世界になるか。
私はいくつもの経験で、実感しました。


◆やれば簡単、代打弁当



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6月のある朝、私が作ったお弁当です。
お料理はそんなに得意じゃないので、恥ずかしいんですけど、えへ。

うちの子どもは今、年長男児1人なのに、なぜ2個のお弁当かといいますと、
夫の・・・ではなくて(うちの夫は自分の弁当は自分で詰める、エラい弁当男子)、

クラスのお友だちの分なのです。
彼のママが、赤ちゃんを出産して間もないので、
週に2回のお弁当を、1ヶ月ほど、クラスの何人かで交替ばんこに作っていたのです。


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これは、7月のある朝。
さっきとはまた別の、産後のママの代わりに作ったお弁当。今度は女子弁。
いや、別に内容は変わりばえしませんが・・・えへ。
あっ、うちの園は、キャラ弁とかとは無縁の、地味弁推奨なのでね!!
そこんとこご理解よろしくね!!


もとい。

この、「産後のママには代打弁当」って、うちの園の伝統らしいです。

人に話すと、「えーっ!!」ってびっくりされるんですが。
私も、入園する以前ならびっくりしてたと思うんですが。
全然、大変ではないんです。

7,8人くらい?(下に小さい子がいる人や、お仕事で忙しい人…など“じゃない”ママ)でローテーションを組むからね。当番が回ってくるのはほんの時々。




いいことは、いっぱいあります。

産後のお母さんが、ちょっとでも楽をできる。
それが直接的なメリットだけど、それだけではありません。

ママの手や目が、生まれてきた赤ちゃんにどうしても向く時期。
代打弁当を食べていたクラスメートが、
「今日は、○○のママが作ってくれる」 「今日はどんなお弁当だろう」
と、毎回楽しみにしていた様子をママから聞きました。

みんなが自分のことを思って、何かをしてくれる。
そんな喜びを、幼稚園児もちゃんと感じるんですよね。

そして、お母さんのほうも、自分がしてもらって心底うれしかったから、
いつか誰かが産んだときには、同じことをしようと思える。




現代日本で、「お弁当、代わりに作るよ」ってママ友に言われて素直にOKできるか? 
なかなか難しいと思います。
迷惑かけちゃうからとてもお願いできないわ。
って思うほうが多いんじゃないかな。

逆に、クラスのママ友に「お弁当、代わりに作るよ」と申し出ることも、なかなかできないんじゃないでしょうか。
恐縮されて、かえって気を遣わせるんじゃないだろうか、とか。
出しゃばりと思われちゃうんじゃないだろうか、とか。

でも、経験があれば、スムーズに言えます。
「私もしてもらったんだよ。あなたもいつか誰かにしてあげればいい」って。

そして、自分もしてあげた経験があれば、
「全然、大した負担じゃなかったわ」
って実感があるから、また次に自分の番が来たとき素直に言えます。
「ありがとう、お願いします」と。

 

誰かがちょっと手を差し伸べれば、
余裕があるときにちょっとの負担を受け容れられれば、
誰かがおおいに助かる。
その誰かが大変なときは、また別の誰かが。

「人に迷惑をかけず」
「自分のことは自分で」
「自己責任」
しゃかりきにそう頑張り、他人にもそれを求めるよりも、
楽で、気持ちよくて、本来、自然な気がします。

 

京都大の総長でゴリラ研究の大家、山極壽一さんが、

「太古の昔から、
 人類と動物との決定的な違いは、火の使用より二足歩行より言語より、

 『共食』 と 『共同保育』である」

と言っていました。
人はもともと、助け合う生き物だったのです。

 

 

◆自分にも人にも、「お互いさま」と思えたら

 

代打弁当に限らず、幼稚園では

「してもらう → うれしい → だから自分もしてあげる」

という、ポジティブなサイクルができているなーと感じることがよくあります。
そのサイクルに乗っかると、とっても楽で、しかも何だか心持ちが良いのです。



もちろん、うちの園だけでなく、育児中の相互扶助は多くのところでされているでしょう。
けれど、そうじゃない環境で育児をしている人も、きっといるでしょう。
育児中の輪の外側の社会では、
「助け合い」より「自己責任」の風潮のほうが強いようにも思います。


「人に迷惑をかけてはいけない」
その迷惑は、実はそんなに大したことじゃないかもしれない。

「迷惑かけないようにしなきゃ・・・!」
その頑張りは、他人に迷惑をかけられたときの、狭量さにつながってしまうかもしれない。

私たちはみんな、一人だけでは、自分の家庭だけでは生きていけない。
迷惑をかけたりかけられたりして生きている。
考えてみれば、それって、昔からの言葉にありますよね。


「お互いさま」


子どもが少なく、高齢者が増えていく国。
経済成長の望めない国。
たびたび天災に見舞われ、エネルギー問題を抱えた国。
日本だけでなく、どこを見ても、政治も選挙も世論も、
不寛容と攻撃性を増しているように思います。

今、必要なのは、「自己責任」でなく「お互いさま」なんじゃないかな・・・。


つらいときは 甘えさせてもらおう
そのかわり できるときは 人を甘やかそう
優しくされたらうれしい
だから優しくしよう

そんな世界で子どもを育てられたら
子どもたちみんな そんな世界で育つことができたら


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(撮影 橘ちひろ

vol.23 城戸みどり の 「ママじゃない私」 ポートレート



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2016年、初夏のポートレートをお届けします♪
今回のモデルさんは、年長さんを筆頭に3姉妹の母みどりさん。初めまして、なのですが・・・。
実は、1年前に取材させてもらう手はずになっていたのです。ところが、そのとき3女ちゃんを妊娠中で臨月だったみどりさん、なんと約束の日の朝に陣痛が!! 
あれから1年、ついにお会いできる日がきました(^^)
みどりさんはこの1年で、バランスボールの先生や専門学校の講師など、新しいことをいろいろ始めてるとのこと。そのプロセスに興味津々の私です。



◆限りある命だから

 

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―――アンケートやfacebookとかを拝見してると、みどりさんはとても行動的なイメージですね。

こないだ、ブログに書かれてた記事を読んで、すごく納得したんです。
みどりさんが26才のときにお父さんがガンで亡くなって。お葬式の日に、
「自分にもいつかこんな日が来るんだな。だから今を一生懸命生きよう、やりたいことは何でもやっておこう、失敗してもいいから」と思って、それが今の自分にすごくつながっている、という話。

読んでくれてありがとうございます。

―――すごく説得力があって、本当にそうだなあと思ったんですよね。
それに、お父さんが亡くなるのはすごく悲しくて大変な出来事だけど、その経験を通じて自分の人生を前向きに考えるようになった、っていうのがすごいなあと思って。人間って、すごく悲しいことがあっても、そこからも学んでいけるんだなって。
月並みな言い方だけど、今のみどりさんを見てお父さん喜んでるだろうなって・・・(←超語る私 笑)

ほんとですかー。うれしいです。

―――でも、日々、行動的に過ごしてて・・・疲れませんか?(←疲れやすい私 笑)

そうですね。疲れるときもあります。

―――だって、小さい子を3人育てていて、毎日そのお世話だけで疲れますよね?

はい。だから逆に、自分のやりたいことをしてる時間に癒されるっていうか・・・

―――ああ、そういうことね! わかります。

子どものこと100%で1日が終わっちゃうと、「あー、何にもできなかった」ってなる。それが、仕事なり、バランスボールなりすると、すっきりするんですよね。

―――うんうん。

なんていうんだろう、子どもとか主婦とか全部忘れる時間が、私にとっては気持ちがいいんだと思います。


◆「そうだ、体育の先生になろう!」

 

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―――この春から、先生のお仕事を始められたんですよね。

はい。大学時代の友だちの縁で、「講師を探しているのでやってみない?」と声をかけられて。本当にまだ始めたばかりで、2か月ぐらいしか経ってないんですけど・・・。
スポーツ系のインストラクターを目指す子たちの専門学校なんですよ。スポーツジムのインストラクターや、保育園の体操教室の先生、デイケアサービスの運動指導とか・・・


―――へー、そういう専門学校があるんだ!

そこで、スポーツ栄養学と福祉実践を教えています。福祉実践っていうのは、介護予防ですね。介護が必要になる前の段階で予防しよう、っていう動きが広まってて。

―――みどりさんは、そういう知識をどこで得たんですか?

いや、実は大学の時に習ったんですけど、実際もう忘れちゃってるじゃないですか(笑)。だから自分も勉強し直しながらですね。1時間授業するのに何時間も準備して・・・。

―――わぁ、大変だ。大学、スポーツ系の専門だったんですね。

最初は法学部にいたんです。

―――あら。

私ずっと部活しかしてこなかったから、進路とか全然わからなくて。顧問の先生に「とりあえず大学でいろんな経験して決めればいいやんか」って言われて、片っ端から学部を受けて、受かったのが法学部(笑)。

―――うんうん、大学ってそういう感じですよね(笑)。

で、大学2年の時に、車の路上教習で、友だちの運転の後ろに乗って山道を走ってる時に「これからどうしようかなー」って考えてたら、「そうだ、体育の先生になろう!」って舞い降りてきて。

―――山を見ながら(笑)。

でも法学部じゃなれんよね、と思って教務課に行って調べたら、転部制度があったんです。3年から4年に上がる時に転部できるシステムで。それで、もう1回試験を受けてスポーツ学部に移りました。

―――やっぱり試験はあるんですね。4年生で転部して、4年間で卒業できるんですか?

できないんですよ。

―――やっぱり取るべき単位が違いますもんね。

だから5年間行ったんですよね。なんて親不孝だったんだー!と思って。

―――ええっ。いや、確かに授業料を考えるとね…。でも、長い人生を考えると、4年が5年になったところで大して変わんないですよね。

そうなんですよね。それで体育教師の免許をとったんですけど、そこからが難しくて…。高校で体育と保健の非常勤講師をしながら、採用試験を3回受けて・・・そうこうしてるうちに結婚することになって。



◆仲間や先生たちと出会い、バランスボールに出会った

 

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―――今は、専門学校の講師の他に、バランスボールの講座も受け持ってるんですよね。

はい、子どもがいるお母さんが多いですね。

―――そちらは、最近、インストラクターの免許を取ったって。 

そうなんですよ、免許はなくてもできるんですけど、やっぱり一通りの知識と技術を身につけたかったので。

―――バランスボール自体、始めたのは産後ですか?

ええ。いいですか? 話をさかのぼると、ちょっと長くなりますけど。

―――(笑)。いいんですいいんです、今日はみどりさんのお話を聞きに来てますから(笑)。

自分の特技を生かして、仕事につなげたいなとずっと思ってて。どこかに勤めるとかじゃなくて、子育てしながらできることがいいなって。

―――お母さんになってから、ということですね。

はい、それで2人目を産んだあと、「ママの未来チャレンジ」っていう講座を受けたんです。それこそ、特技を生かしたいけど何から始めれば・・・っていうママのための、全何回かの講座が無料で。

―――まさにみどりさんのための企画!

そう! それで、同じ講座を受けた7人が集まって、「ままいる」っていう団体を作ったんです。お母さんたちのための講座やイベントをやる団体です。

―――ほうほう。

その企画の1回目が、バランスボールの講座だったんですよ。西新から中村先生という方をお呼びして。それがすっごく楽しかったんですよね。
そして、私がいずれ、運動系教室とかやりたいって言ってたから、周りのスタッフが「先生に相談してみなよ」って言って。私は、初対面だし自分の相談なんて・・・


―――とてもできないわ、って思っちゃいますよね。

でも周りが軽く言ってくれるもんだから、相談してみたんです。そしたら、なかむら先生が「とってもいい人がいる」って、竹村先生という方を紹介してくださったんですね。

―――ほうほう。中村先生の次は、竹村先生。

竹村先生は、すごく幅広い知識や技術を持ってる方なんですけど、とにかく忙しい方で。
連絡してやりとりしてたんですけど、「いつかどこかのタイミングで会えるかもしれないから、その流れを待ちましょうか」って言われて、待ってたんですよ。
そしたら、「ままいる」のスタッフに「みどりちゃんから行かなきゃダメなんじゃない? 向こうから、この日に会いましょうとか言ってこないよ」って言われて。


―――忙しい先生ですからね。

「でも、今のみどりちゃんには無理か。」って言われて。それですごく発奮して。

―――おお!

彼女は悪気なく言ったと思うんですよ、そのとき、うちの次女まだ小さかったし、今は無理だよねって。
でも私、そう言われて「全然無理じゃない!」って思って、すぐ竹村先生に連絡して、「先生、お昼休み1時間でもいいから会ってください」ってお願いして、子どもをおばあちゃんに預けて会いに行って。


―――すごい!

そうしたら、先生は初対面の私に、すごく親身になってくださって。「30分でもいいから、自分が自信を持ってやれることを身につけたらいいよ」って。

―――はー、30分でもいいから。なるほどねー!

「それが何なのかは、城戸さん次第よ」って。なるほどーと思って、いろんな教室に参加したり講座を受けたりして。
自分は何が楽しいかな?って考えて戻ってきたのが、バランスボールだったんですよね。


―――あー、戻ってきた(笑)。

「お母さんたちが集まれる場所を作れれば」っていう気持ちがあったんです。
小さい子といつでも一緒にいる時代は、自由に動きづらかったり、どうしても窮屈な部分がありますよね。私もそうだったから、子連れでも一緒に楽しめて、お母さんたちが元気になれるような場所をを作りたかった。


―――ああ、「お母さんたちを元気に」という思いが大前提としてあったんですね。

はい。そうやって考えたときに、バランスボールって、妊娠中でも産後でもできるし、小学生も高齢者もできる。幅広い!って思って。
今は、ままいるの定期講座のバランスボール教室を私が引き継いだ形でやってるんです。


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          (はいっ!!この笑顔!)

 

◆何でも叶う?! 引き寄せの法則

 

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―――その状態から、人に教えるようになるまでは、かなり勉強されたんでしょうね。

ネットで検索したんですよね。バランスボール講師養成の。
そうだ、その前に、「引き寄せの法則」ってご存知ですか?


―――ん? いや、知らないです。

紙に、願い事を、叶ったと思って書くんです。完了形で。

―――ああ、はいはい! スポーツ選手がやってるの、テレビで見たことあります。「オリンピック金メダルをとりました」って。

私もそれをやったんですよ。
「子連れOKの養成講座を見つけることができました。しかも自宅近辺で開講されます。時間も融通が利きます」


―――すごい(笑)。自分に都合の良い条件を書き連ねるわけですね(笑)。

そうなんです。「願いが叶って、私はインストラクターになれました」って。
そしたら本当に見つかったんですよー! 清水リサ先生という方で。


―――ほう、今度は清水先生。

そのとき私、3人目を妊娠中の臨月で、大きいお腹で見学に行って。すごく素敵な方だったんですけど、まだちょっと迷いもあって。

―――そうですよね、始めるかどうか、大きな決断ですよね。習うってなるとお金もかかるし、専業主婦にとっては迷うところ。

でもやっぱり1回の人生だし、失敗してもいい!って思って、産後4ヶ月くらいから受講したんですよ。それも何と、先生がうちに来て教えてくださったんです。

―――すごい! 願いが叶いまくり!!

自宅で赤ちゃん転がしながら、マンツーマンで半年ですよ(笑)。

―――いやあ、すごい行動力ですね。いいお話でした。引き寄せの法則、私もやってみようかな。

書くことで、知らず知らずのうちに、そうなるように行動していくみたいなんですよ。潜在意識にスッと落ちるっていうか。

―――書くってことが重要なんでしょうね。ぽやーんと心の中で思ってるだけじゃなくて、具体的に言葉にすること。言霊に近いのかな。


剣道一直線!の学生時代

 

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―――小学校から中・高・大と、ずっと剣道をしてたとのことですけど、辞めたいと思ったことなかったですか?

やー、ありました。あったんですけど、なんか、そのときそのときでいろんな出会いがあって、引き戻されたんですよね。剣道の世界に。

―――始めたきっかけは何だったんですか?

アイスなんです(笑)。練習終わりに迎えに来るお父さんたちが差し入れてくれるんですよ。「毎日アイスが食べられるばい」って、友だちに誘われて(笑)。

―――中学では、部活を選ぶときに、もう自然に? 「私は剣道部」って。

そうです。田舎だったから、全員、なんか部活に入らなきゃいけなくて。

―――そうだ、「友だちがなんかすごく大好きで、学校に行くのが楽しみだった」って書いてありましたよね。
私も学生時代を思い出すと、漠然と“青春時代”って感じの楽しいイメージですけど、実際そのときは結構冴えない日常というか、イヤなこともあるし、友だちとの関係もめんどくさいときあったなーって思うんですが。

うーん。毎日楽しかったんですよね。田舎だったからか、みんなすごくいい人ばっかりで。

―――へぇー。女子同士って、時にややこしくなったりしませんでした?

なかったんですよ。やっぱ田舎だからですかね(笑)。素朴な人ばっかりで。男女も仲良かったし、楽しかったですね。

―――みどりさんは、もともと楽天的というか、あんまり悩まないほうだったりします?

ううんー! 全然ですよ。すごい小心者だし、心配性だし。中学の時とか、部活の先生がめっちゃ怖かったんですよ。もうホント毎日「今日はしごかれませんように」ってお祈りしながら・・・

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◆大きなひと。

 

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―――小心者ってイメージ全然湧かないけど・・・
そういえば、ダンナさんのこと、「『みどりはすごい!』ってすごく褒めてくれる」って書いてありましたよね。「それで自信がついた」って。逆にそれまでは、自信がない面が?

そうですね。ダンナさんが。そうそうそう。

―――たとえば、どういうところを褒めてくれるんですか?(←興味津々)

うーん。たとえば、私いろんな話を聞きに行ったりするの好きなんですよ。講座とか。まぁ実践するかどうかはおいといて(笑)、新しいものを自分の中に入れるのが楽しくて。
ダンナさんはそういうの行かない人なんですけど、出会ったころに、「こういう講習受けてきたよ」って話したら、「みどりはすごいねー。どんなこと習ってきたと? 教えて」って


―――へえええええ、そんなこと言うダンナさん、あなたもすごいよ!!

褒め上手なんですよ。

―――(ちひろ) いい関係ですねー。「教えて」って言われたら、一生懸命思い出すじゃないですか。すごい身につきそう。

私が先生役になって、もう1回おんなじこと話してましたね。そしたら一生懸命聞いてくれるんですよ。

―――(ちひろ) 聞いてくれるのがすごいよね。

―――聞いてくれる男の人って意外に少ないからね。

出会ったころ、私全然、仕事ができなくて。社会人1年目だから当然なんですけど、すごい落ち込んでたんですよ。でも、裏でそうやって彼が支えてくれたから。このまんまの私を受け止めてもらえたら、こんなに楽で安定するんだー、って思って。

―――ほんと、大きいですよね。その存在は。

それから、仕事もがんばれて、いろんなことがきちんとできるようになった気がします。

―――でも、そんなダンナさんは高校の先生で、剣道部の顧問。となると、毎日の放課後の練習や、お休みの日も部活がありますよね。

いろいろ考えますよ。日本の社会というか。

―――ほんとね。親になると考えちゃいますね。

なんかもう、6時になったらみんな帰宅、とか。店も全部閉めて。日曜は仕事しちゃダメ、とか。やっぱりお父さんが家にいないっていうのがね・・・。産後うつとかも増えてるし。

―――ほんとにねぇ。でも現実的に、ダンナさんの仕事の仕方を変えてもらうのは難しいじゃないですか。
そうすると、どこの家でもそうですが、男の人は仕事の時間が長くて、どうしても夫婦の時間は短くなってしまいがちですよね。それで淋しかったり困ったりすることないですか? 子どもの話とかも夫婦で共有しておきたいですよね。

そんなに困らないかなあ。コミュニケーションは自分からもとるようにしてますね。うん。「最近あんまり話してないから話そうよ」とか。「子どものことで話があるから時間作って」とか、思ったことやお願いしたいことがあれば言います。

―――えらい! 言えるんだ。

うんうん。ためないようにしてます。

―――そしたら、ダンナさんは?

「あ、ごめんごめん、話そう」って。やっぱり、自分が家にいないことをすごく申し訳ないと思ってくれてるみたいで、そういうときはすごく対応早いです。

―――ダンナさんも、いつも家族を気にかけてるんですね。

そうだと思います。

―――みどりさんが何かやりたいことがあるとき、ダンナさんはすぐ賛成してくれるほうですか?

はい! なんか全然心配しないんですよ。何に安心してるのかわからないんですけど(笑)。え、やれば?って。

あ、でも専門学校の講師は・・・バランスボールの資格をとって、「さあ今からだ」って時と重なったので、理解してもらえるか、ちょっと考えるところもあって。


―――普通に考えて両方は難しいですもんね。それでどうしたんですか?

自分は、両方がんばってみたい!と思ってたんですけど、やっぱり、口では伝わらない面もあるかなーと思って。話せば話すほど言い訳がましく聞こえちゃうこととか、あるじゃないですか。
だから、それこそ、父の命日のときに書いたブログLINEに送って、「お時間あるときにご一読ください」って。


―――すごーい! おもしろーい!

そしたら、帰ってきて開口一番、「みどり、やったらいいよ!」って。「1回きりの人生やん」って(笑)。

―――うわー面白い! めっちゃいい人! 

変な言い方ですけど、あのブログは、ほんと役に立ちました(笑)

―――開口一番で肯定してくれるのがまたすごいですよね。なんか、男の変なプライドみたいなのがなくて、いい! 

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◆今もう一度、教壇に立って

 

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―――今、先生として19、20才の子たちを見て、どうですか?

やっぱり、かわいいですね。

―――独身のときの講師時代と、今とでは、見方も少し違うんじゃないです?

違いますねー。やっぱり前は、若かったから年が近すぎて・・・

―――きょうだいくらいの年の差ですもんね。

なめられちゃいけないと思って、壁を作ってた。かっこよく見られたい、私は何でもできるのよ、って。見せかけなんですけどね。今はもうそんなものなくて、どう思われてもいい、知らないこともあるけど、私にできる限りは伝えるね、って。

―――授業をしていて、今よく聞いてるなーとか、生徒さんたちの反応ってわかるもんですか?

わかりますね。私が実体験からとか、実感を込めて話していると、目の色が違うというか、「はーっ!」って聞いてます。でも、どっかからちょっと拾ってきたようなことをペラッと言うと、ふーんって感じでやっぱり響かない。

―――なめちゃいけないですね。子どもでも若くても、やっぱり言葉の深みがわかるんだ。

そうだと思います。私は今たった2科目だけの講師で、時間的にも質的にも、学生さんたちに教えられることは限られるんですけど、私も母になって世界が変わったし、ものの見方や考え方も前とは違うと思うんですね。

―――そうですよね。自分が大人になって、いろんな経験をしたから見えることはありますよね。

だから若いときには言えなかったことも言えるよね、と思ってて、だからもう一度、教壇に立ちたかったのかな、と思います。もちろん、私自身まだまだ未熟なところもいっぱいあるし、自分も学びながら、成長しながら、ですね。


(おわり)

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【編集後記】

インタビュー:イノウエ エミ
一年前の取材予定はお産でキャンセルになったものの、赤ちゃんが無事に生まれたこと、すくすく育っているのをfacebookなどで微笑ましく拝見する日々。
この日、一年越しでお会いできて、こんなご縁もあるのだなーと、とてもうれしく思いました。みどりさんは写真のとおり美人さん、でも本当に飾り気がなくて自然体、この日の空のようにすがすがしい人。という印象です。

バランスボール専門学校の講師。ある意味結果というか「達成されたこと」ですよね。
お話を聞いてると、大きな達成までの道のりは、小さなことの積み重ねなんだなあと思います。もちろん、みどりさんの意思があってこそですが。人との出会いを大事にしたり、話を聞きに行ったり、講座に参加したり。ひとつひとつのプロセスに対して小さな勇気を出して踏み出し、取り組むことで、ひとつひとつが経験値になり、やがて道がひらけていくんだなあって。
みどりさんが言う「今を一生懸命生きる」って、そういうことなんだろうなーと思います。そして今この日々が、明日に、何か月後・何年後につながっていくんですね。

一緒に来てたちひろちゃんの息子ちゃんは、初夏の日差しの中ですやすや。30代女子3人、緑の中を散策してバランスボール乗って木登りしてお昼食べて・・・ピクニック気分も存分に味わった、楽しい取材でした♪


撮影:橘 ちひろ

駅でお会いして、車を運転されている横顔を見て「きれいだなぁ!」っておもったもので・・・気が付いたら今回、ほぼ横顔になってしまいました。あわわ。
正面切ったみどりさんをまたいつか撮らせてください!
でも横顔って語りますよね、人を。うん。やっぱり横顔すてきです。

広ーい公園、燃ゆる緑に青い空・・・スケールが大きくてのまれそうな自分でしたがみどりさんは堂々・健やかに・自然に写ってくれました。
お話もすごく良かったです。「やってみよう」っていう気持ちとか「引き寄せの法則」とかの考え方かなり影響を受けています。体を動かすことと学び思考すること、どちらもできるみどりさん、すてきだなぁ。と思いました。
あ・・・実家にバランスボールあったなぁ、やってみようかな・・・。

 

vol.22 こんどうしず の 「ママじゃない私」 ポートレート



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双子ちゃんのママ、しずりんは、インタビュアー・エミの小学校時代からの親友です。結婚して今は関東に住んでいる彼女が帰省してきたところを、はっしとつかまえました。

「ママじゃな」を始めたとき、まずは身近な友人知人にモデルをお願いしてきたのですが、彼女はその頃まだママじゃなくて、お腹に赤ちゃんズがやってきたのはそのあとだったんですよね。しずママに取材できる日が来てくれしいな。・・・とはいえ、「ママじゃない彼女」は昔からよくよく知っているので、今回は「ママになった彼女」の話もたくさん聞いています。



◆出会って四半世紀、ママになって“暗黒期”も経験・・・

 

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―――私、小学5年の5月に転校してね。転入先のクラスの学級委員が、しずりんだったよね。それから仲良くなって。

―――(ちひろ)あ、そうなんだー!

そんな、やりたがりな時期もあった(笑)。

―――中学でも一緒にソフト部に入ってね。彼女が部長で。

それは、やりたがってない(笑)。

―――部長は、前任者からの指名制だったよね。しずりん、人望があったけん。

いやいや。まー、こんなに長いお付き合いになるとはね。お互いお母さんになってるなんて、びっくりだよね。

―――ほんとにね。でも、しずママは今すごく大変で、今回のアンケート書いてくれたのも相当、闇な時期で・・・回答も暗めで・・・

いや、あれからさらに病んだから(笑)。

―――あらっ、あのとき、まだ底じゃなかったと? 2月ごろだったよね。

あのときはお母さんが来てくれとったけん、あとから思えば楽勝やった。そのあとお母さんが帰ってからがね・・・

―――闇の時期はどうなってんの?

今すごい頻回授乳で、すぐおっぱいに寄ってくるわけよ。それが1日中ずーっとだから、ほんとイヤになっちゃって、両腕にこう2人を抱えながら、敷いてるマットに、猫みたいにガリガリ爪を立てて・・・

―――おお・・・

子どもたちがキーキー叫んでたら、一緒になって私もギャーって言ったりして。

―――ああー・・・

まあね、冬で窓も閉めきってるから、隣近所には聞こえないだろうと思ってたら、ある日突然、上の部屋の人がポンカンを持ってくる事件が!

―――うわあ!

引っ越したとき挨拶したきり、二度と会ってない上の部屋の人が、ポンカンのおすそわけを(笑)。ダンナが「様子うかがいに来たんじゃないの?」って。うるさくしてるから・・・

―――もしかしたら何ごとか、事件の気配が…って?

結局、真相はわからないんだけどね。それぐらいキーキー、子どもと一緒にうるさくしてる。あと、暴飲暴食がひどい。甘いものすごい食べちゃう。

今もう歩けるようになってきて、自己主張する分、ずーっとついてきたり足に絡まってきたりさ、それがかわいくもあるんだけど、やっぱイラッとしちゃうときあるんだよね。なんか、虐待とかでニュースになるやん。しちゃう人の気持ちが分かるっていったら変だけど、わからんけどさ、その瞬間的な・・・


―――そのときの衝動、「んもうー!!」って気持ちがわかるよね。お母さん自身が追いつめられてる。

一概にその人だけを責められないというか、周りがどうにかできなかったのかなとか・・・

―――夫や両親とか、近くに誰か力になってくれる人がいれば、そういう衝動も落ち着くけど、ずっと母子だけだったりしたら、落ち着くヒマがないもんね。で、エスカレートしちゃう。そういうメカニズムが理解できるよね・・・

なんか、息抜きって大事だなって思うよね。ガス抜きというか。


 

◆「自分の時間」って何ですか?(泣)

 

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―――事前アンケートで「自分の時間はありますか?」っていう質問があるんだけど、「ない!」って、これほど断言するモデルさん初めてよ(笑)。

うそっ。そうなん?

―――しずりんは、今までの「ママじゃな」で、“ママ歴”が一番若いモデルさんだから。第一子、1歳児、しかも双子。ほんと大変だよね。

何をもってして自分の時間というのかわからんけどさ。よく「“ながら授乳”はやめましょう」とか、言うやん。

―――「赤ちゃんの目を見て語りかけながら」とかね。

いや無理やし、と。授乳してる隙にLINEを返したりとか、テレビ見たりとか。それが自分の時間といえば自分の時間かもしれないけど・・・

―――いや、それは自分の時間には入らないよね。ただのスキマ時間で。

寝かしつけで自分もウトウトしてきたら、そのまま一緒に寝た方が体にはいいんだろうけど、半眼みたいな状態で意地で起きちゃったりして。

―――あーわかる。せっかく子どもが寝たんだから、何かしないともったいない気がするよね。ほんとは、そんなフラフラ状態で起きてても大したことできないんだけどね。

見てないDVDとかもたまってるけど、見るならちゃんと1から10まで全部みっちり見たいのに、いつ「ふぇ・・・」とか言われるかわかんない。そんな怯えた状態で全然集中できないよ!って。だからツムツムぐらいしかできない。

―――ツムツムしてんだ(笑)。

ツムツムぐらいよ、癒しは(笑)。

―――ほんと、いつ呼ばれるかわかんない、って気が休まらないんだよね。呼ばれたら待ったなしだし、いつ終わるかわからんし。

だから、買ったけど見てないDVDとか積んである。Amazonで買ったけど未開封の写真集とか。

―――写真集ね(笑)。(※何の写真集かは、後述(笑))

 

ダンナには感謝してるけど、地蔵にはなれません!

 

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時々、休みの日にダンナに子どもたちを預けて出かけるのはリフレッシュになるんよね。

―――ダンナさんえらい。がんばってる。新米パパが同時に2人見るんだもん。

有難いなーと思ってる。でもさ、ちょっとね、「一人で子どもたちを見て、このガリガリする気持ちを味わってみろー」とか思っちゃうとこもあって。

―――わかるわかる(笑)。しんどさを体験してほしい(笑)。

それがさー、私がいないならいないで、けっこう平和に暮らしてるんよ。うちの母親が見てるときもそうなんだけど、やっぱりおっぱいをくれる人、くれない人って子どもたちもわかってるんだよね。

―――ああー。おっぱいおっぱいってグズグズせんのやね。

帰ったら「キャッキャ遊んでたで」とか言われて、えええー、って。

―――ガリガリしたくならんかった?って(笑)。

「寝てる間、掃除してたわー。あそこと、ここと、網戸洗った」とか。

―――えらい! えらいけど・・・うれしいけど・・・

―――(ちひろ)なーんか狙いと違うんだよねー(笑)

逆にちょっとイラッとする。そんなエピソード求めてない!(笑)

―――ゲッソリ感が欲しいのに(笑)。

そのうえ、「こうしたらいいんじゃない?」みたいなアドバイスされちゃったりして。

―――「おまえが言うな」だよね!! これぞ、ネット用語の「おまいう」案件

私が、イライラするイライラするって言うと、「子どもなんてそんなもんやろ。怒ってもしゃあないやん」って。そりゃ、家で奥さんがイライラしてるとダンナもイヤだろうなと思うけどさ。なんか、アドバイスとかされると、無能感みたいな・・・。

―――あー、それ! 募るね。

なんか、「私がダメなの?」みたいな気になってくるんだよね。こっちだって精一杯やってるし。「地蔵じゃねーよ!」って。

―――地蔵(笑)。や、イライラもするよ、誰だって。しかも双子ちゃんだもん。そこは、言い争いにはならんと?

なっても堂々巡りやけん、だんだんめんどくさくなって、「はいはい、わかりましたわかりました、私が明日から・・・」

―――地蔵として・・・(笑)

「歯ァ折れるまで食いしばります!」みたいな。にこやかに、とか無理だから。「爪は丸めます」って(笑)。

―――地蔵マインド(笑)。

や、すごく子ども好きなダンナで、いるときはよく遊んでくれるしあやすのも上手やけん、それはほんと感謝してるんだけどね。



◆教職はとったけど・・・   

 

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―――さっき、「無能感」って言葉が出たけどさ、ほんとそれな。
初めての子育てって、「私ってダメだな、うまくいかない・・・」って気分になりがちな気がする。
しずりんは昔から、勉強も運動もピアノとかも、割と何でもできたほうだから、なおさら、自己否定みたいな気持ちって初めてじゃない? 子どもの頃、劣等感とかあった?

ううーん。でもまあ、中学くらいになると、「あ、これは無理。向いてないな…」とかわかるやん。そういうことに関してはあきらめが良い気がする。
育児は、自分がせざるを得んけん、あきらめるわけにはいかんけん、ぐるぐる悩むよね。悩んでもどーにもならんのやけど。


―――そういえば、子どもの頃から、何かになりたいとかなかったの? しずりんなんてスペック高い人から、たとえば東京大企業で働くとか、専門職に就くとかいう道もあったんじゃ?

いやー私ね、食べていくためにちゃんと続けられる仕事を、っていう気持ちはあったけど、それぐらいかなあ。

―――そういえば大学で教職とってたよね。教員免許持ってるよね?

そうそう。でもね、1年生時点で「あー、あたし向いてない」って思った。

―――早っ。むしろそのモチベーションでよく教育実習まで行ったね(笑)

もう意地だよね(笑)。先生になりたいっていうより、それぐらいしか思いつかなかったっていうか。
あのさー、小さい頃って、お花屋さんになりたいとかケーキ屋さんとか言うけどさ、そこからそんなに広がらなくない? 知ってる職業って。


―――そのレベルに留まるよね。で、高校生ぐらいになると、お医者さんとかパイロットとかそういうのは自分には無理だとわかってくる。

だから、もっといろんな職業を知れてたらよかったなとは思う。
女一人でも生きていけるように・・・って考えたとき、「先生なら」って思ったけど、ほんとは女性の仕事なんてもっとたくさんあるのに、知らなかったからさ。


                     

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◆ママになるまでの宙ぶらりん期

 

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(取材後半、めいっぱい遊んで眠たくなったふたごちゃん。インタビュー担当のエミも一人を抱っこしながらインタビュー・・・の図)

 


―――今の話でいくと、結婚するときに仕事を辞めたのは、イヤじゃなかったと? もちろん、彼が東京転勤になったから辞めざるを得なかったわけだけど・・・

あー、そのときはね、もういいかなって。外に出ることが多い仕事だったから、もう日焼けしたくないとか、朝4時起きって何なのとか、そのときはそういうのがきつい時期やったんよね。

―――そういう感覚も変わっていくもんね、年を重ねると(笑)。

で、東京ですぐ仕事を探せればよかったけど、そのころ彼が転勤の多い仕事だったから、長く働くにも・・・

―――そうだよね、そのあと大阪転勤もあったもんね。
でもしずりん、結婚後に社労士の資格とったよね? そんな簡単に取れるもんじゃないはずだけど(笑)。

そう、それで大阪社労士事務所で働いて、そのあと、ダンナがまた東京転勤になってからも、面接には行ったんだよね。
でもさ、まぁいい年した既婚者だから、「お子さんは?」って聞かれるよね。そのときはまだいなかったけど、「いりません」ってわけでもないし、「えーっと・・・」ってなって・・・


―――残念ながらお祈りされたんだね。(※「就活 お祈り」で検索してください)

ま、別にそういうの関係なく単に私が至らなくて落ちただけかもしれんけどね(笑)。にしても、やっぱり子ども欲しいなと思ってたけん、そっちが先じゃないと、本腰入れて仕事って難しいのかなって思って。

―――うんうん。

でもなかなか子どもできなかったけんさ、ボサッとしてるだけっていうか、「あたし何してるんだろ」感はあったよね。
働くなら働くなり、子育てがないならないなりに、なんかもうちょっとしたほうがいいのかな、って。でもやっぱり子どもは欲しいから、ガッツリ正社員ってのも・・・って堂々巡り。


―――宙ぶらりんな感じだよね。わかる。女子って30くらいになると、「しっかり仕事してます」か、「子育て真っ最中です」か、はたまた「子育てしながら仕事してます」って人が多くて。どれでもなければ、「私っていったい・・・?」みたいな感じになるというか。

 

 

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◆「ママじゃない私」は、ただのオタク?(笑)

 

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―――ママ友とかのお付き合いも出てきたと思うけど、どうですか? 

前に住んでたところで同じくらいの子どもたちのママの集まりに行ったりしてたんだけど、去年の秋に引っ越しちゃってね。

―――ママ友、欲しい? そういう集まりは楽しい?

うん。子どもたちも、今日みたいに遊び相手がいたら楽しそうだったりするし、私も、同じくらいの子たちが今どんな感じなのかってわかるのはいいんだけど。時間に合わせて出かけるっていうのが今大変だったりしてね・・・

―――昔っからの友だちだから思うのかもしれないけど、しずりんって子どもができてもあんまり「ママ感」を醸し出さないよな、って。第1子って、超・親ばかな感じになってもおかしくないのに・・・

えー、そう? 自分では相当親ばかな気がしてたけど。

―――いやぁ、おとなしいほうよ(笑)。facebookの投稿とか見ててもそう思う。もちろんすごくかわいがってるけど、なんていうのかな、「私、ママでーす♪」って感じがないっていうか、親ばか感を外にださないっていうか。

―――(ちひろ)なんかかっこいい。ドライな感じ。

―――そうだ、トンペン(=東方神起ファンのこと)的なことも、しゃべっとく?

あ、東方神起をどうぞよろしく。ちょっと今、兵役に行ってるんですけど・・・

―――彼らのどこが魅力的ですか?

いやもうなんだろね、顔・スタイル・踊り・パフォーマンス・・・(←すべて好きすぎてうまく説明できないご様子)。

―――パフォーマンス、ほんとカリスマ感あるよね。J-POP的な、甘ーいラブソングを日本語で歌ってるイメージがあるけど、そうじゃないやつも見てほしいんだよね(←かつて、しずりんに布教を受けた人(笑)) 

そうそう。彼らの魅力はそれだけじゃないからね、全然!

―――ダンスも歌唱力も、カリスマ的なんだよね、パフォーマンスが。プロ意識もすごいし・・・それでいて、素に戻るととってもおちゃめだったりね。

でも今、彼らが兵役行ってる以前に、ご時世的になかなか韓国のアーティストはテレビに出られなくて。

―――ゆゆしきことだよね。コンサートチケットの争奪戦とかジャニーズ並みにすごいのに、そんなに人気あるのに、テレビとか全然出られないって、完全に政治的事情だったり、ケンカンっていうの? 国民感情だったり。

ぱったり出なくなったもんね。

―――(ちひろ)兵役って、いつ帰ってくるんですか?

来年ですね。2年間だから。

―――こんなに近い国なのに兵役のこととか良く知らんよね。芸能人でもホントに行くんだねーとか。

あんだけ稼いでるのにお金で解決とかないんだよね。

―――アイドル事情ひとつとっても、ジャニーズともEXILE系とも違う。お国柄ですな。

いやほんと、機会があれば見てください。youtubeで。私、彼らを知る前と知った後で人生変わったんで。

―――すげぇな(笑)。てか、やっぱりさ、ちょっとマニアックなとこがあるから、「ママです♪ 親ばかです♪」って感じにならんのかね。

―――(ちひろ)子ども以外にもすごーく好きなものがあるって、いいね。

まあ、「ママじゃない私」は、ただのオタクだからね・・・

―――(笑)



(おわり。)


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【編集後記】

インタビュー:イノウエ エミ
あらゆるマンガを貸し借りし、ソフト部では一緒に顧問の鉄拳制裁を受け、恵方巻が流行れば一緒に丸かじりし、互いの結婚式でスピーチを読み合った我々なので、あらたまって取材なんて恥ずかしくもありつつ、やっぱり楽しかったー!

ただでさえ初めての子育てって大変なのに、双子となると倍増以上だよね。しんどい部分を赤裸々に語ってもらったけど、双子ちゃんはすくすくのびのびと育っていて、人なつこい笑顔や、好奇心&食欲旺盛なところをたくさん見せてくれました。

インタビューには収録しませんでしたが、「世の中にいろんな職業があって、いろんな選択肢があることを子どもに教えたい」という話から、「じゃあ、どうやって教えたらいいんだろう?」って話にも。みなさん、どう思いますか? 
しずりんの話が面白おかしいので終始ゲラゲラ笑ってたんだけど、子育てにしんどくて孤独な側面があること、仕事でも子育てでもない女性の「宙ぶらりん期」、そして子どもに何をどうやって教えていくか・・・・と、なにげに示唆に富む話題が多かったなと思います。

まぁとりあえず、これからもお互いがんばろう。友だちが元気でいてくれるってそれだけでうれしいものです。てか、知ってたけどスタイルいいな! 足長いな!!
あ、この日は赤ちゃんの数が多かったものですから、ちひろちゃんの友だち・ちづちゃんがベビーシッターするよとお手伝いに来てくれたんです。ちづちゃんありがとう。今度はモデルお願いします(笑)。


インタビュー:橘 ちひろ

久々の取材!とても楽しかったです。しかも初の試み、我が家での撮影です。
自慢の白壁撮影スペースも位置を考え直しより安定した自然光を得られるようになったかな。
「ちひろスタジオ」って呼んでください (笑)!!
近所には緑が楽しめる秘密の小道もありますよ~。

ということで今回の被写体さんはしずさん、抜群のスタイル、カメラにもびくともしない自然体、自然体だから笑顔が美しい!どうしたらこんな風になれるんだろうって思いました。
インタビューを聞いていて納得でした。自分をしっかりと受け入れながらも見定め・割り切りがしっかりとしています。
あ、でも読んでの通り、とても冷静なのにお話はざっくばらんで最高の面白さでしたよ。
さすが親友同士のインタビュアーエミちゃんとの掛け合いも気持ちの良いリズムで!

最後のショットはいい機会だから子供たちも一緒に・・・と個人的に撮らせてもらったのですが、かなりいい感じに撮れたのでしずさんに承諾をいただいて掲載させていただきました。
そっくりな二人を両手にしっかり抱っこするしずさん。この感じがたまりません♡

隣の和室でとても楽しく遊んでくれた4人の1歳児たち、そしてベビーシッターに来てくれたちずちゃん、本当に奇跡のインタビュー&撮影タイムでした。special thanksです。

「ママじゃな」 にいただいたご感想、そして…


こんにちは。auのCM、菅田将暉くんのオニちゃんがたまらなーい!流れるたびに、何十回も目が吸い寄せられてるエミです。

突然ですが、「ママじゃな」への感想をシェアさせてくださーい。
以下はすべて、私たち企画者やモデルさんのお知り合いではなく、
ある意味、客観的に見てくださった方々からのコメントです。
(私エミの個人ブログを通じて等で、感想いただきました。)
いろんな年齢、いろんな環境の方がいらして、どれもとてもうれしく、また興味深く読んだのです。



育休を取っているのですが、実は干されるのを覚悟で来年度末まで延長するつもりで・・・。
子供とこうして過ごせる日々が、長い人生の中でとても貴重なものだと思うと、仕事復帰がためらわれるというか。
育児のこと、仕事のこと、これからの人生のこと、ちょっと色々悩んでいる状態ですが、
そんな中、「ママじゃな・・・」を読むと良い刺激になります。




今年二十歳と中学生の息子がいますので、取り上げられている方々よりはずっとおねーさん(笑)ですが、
幼稚園小学校の子どもを持つママたちが、自分の世界も大事に生き生きと生きている様子に眩しさを感じています。
自分は子どもがいるからって、踏み出そうとしなかったなぁ、でもやればよかったんだなぁなんて思ったり。

自宅で文庫をなさっている方のお話が興味深かったです。
以前図書館で働いていたんですが、子どものこと、家事とのバランス等のことで悩み、後ろ髪をひかれながら辞めたといういきさつがありまして、こういった形で本と関わっている方がいる!と目から鱗でした。




ママでもなく、妻でもない、結婚後の一人の女性としての日常をクローズアップしているブログって、あるようでない気がします。言葉の端々に母となったから出てくるんだろうなあと思う意見もあったりして、自分にはない経験値からの考え方って、すごく参考になります。

特に最近のテレビは『子供の声がうるさいから保育園・幼稚園の建設反対』だとか、『第2子を妊娠したら、第1子の保育園退園』だとか、子供を持つことに対するネガティブキャンペーンをやってるのかと思うくらいです。
私は未婚なので、そういうニュースに流されることは簡単ですし、そういう事を言う人の気持ちがわからなくもない。

そんな中で、この『ママじゃない私』を拝読すると、子供を授かったからこその言葉を感じられるし、人様の人生の一端を覗かせていただく事で、多方向からのものの考え方ができるのでは?と思ってます。




趣味や仕事や生活の話をするのも好きだけど、
どんな性格とか、どんな考え方をしているとか、幼少期にどういう経験をして
いまの自分が作られているかとか、そういう話を聞くのが好きなので、
それを「ママじゃな」の中で満たしてもらっている気がします。

相当仲良くならないとそういう話ってなかなかしないし、
仲の良い周りの人とは既にそういう話をするフェーズは過ぎているので
とても新鮮です。

番外編?サニーさんの男子女子、男社会女社会のお話も面白かったです。
世の中には素敵なおじさまがいらっしゃるんですね。




山田ズーニーさんの「社会とのへその緒」という言葉を思い出しました。

会社人は「会社」という社会とつながっているけれど、フリーランス専業主婦等であっても、
「どんな形であれ社会とつながって、そこから栄養を取り、自分の思いを社会へ出すための“へその緒”は必須」
というような話だったと記憶しています。

「友だちとのおしゃべり」の枠を超えて、アポを取って、報告書(笑)をまとめて
・・・という一連の作業には、楽しいだけでなく手間も面倒もあるでしょうが、
そういったことも引き受けたうえで、エミさん・ちひろさんが個人として社会につながっている“へその緒”が、この「ママじゃない私ポートレート」ですね。




私は出産直後は全然育児が楽しめなくて、半分産後うつのような状態だったので、
子育て=幸せ!」全開の記事はちょっと読めなくなっていたのですが、
「ママじゃな」記事はまさにママじゃない個人を中心にした記事で、すんなり没入して読むことができ、
同時に「ママになってしまった」自分を客観的に捉えなおすこともできた気がします。
インタビューはもちろん、写真もとても好きな雰囲気です。




世の中にママたちはたくさんたくさんいるけど、一人ひとりのお話を聞いたら、それぞれみんないろんな歴史や生活や気持ちを持っているだなってことがよくわかって、どの方も笑顔の写真がとっても素敵です。
エミさんとちひろさんが小さいお子さんがいながらこの企画を始められたことにも勇気づけられます。




いろんな人がいるなあ・・・
でもコンプレックスの塊なので、自分と比べてへこんだりとかもしてました。ネガティブコメントすみません><
それだけ素敵な人ばかりの企画で素敵と思います! というかママでもママじゃなくても素敵なんですよね。




以上、いただいた感想の一部でした~。(私・エミが抜粋したり、大意をまとめたりしています)
本当にありがとうございます!!



このあいだ、撮影担当ちひろちゃんとも話してたんですけど、
自分たちの周囲だけでも、取材したい人まだまだたくさんいるよね、と。
その人に子どもがいるかどうか、年齢や性別にも関わらず、あんな人やこんな人に出てもらいたいよね、と。

その希望のすべてが叶うかどうかはわからないし、今、1ヶ月に1度くらいの取材ペースでのんびりやっているから、ずーっと先の話になるかもしれない。
何かの事情で活動休止することもあるかもしれない。(バンドか?笑)

でも、細々とでも続けていたら、
あれこれ気ままに思い描いていることが実現する可能性はゼロじゃないんですよね。
そう考えると、「ママじゃな」っていいなー、始めてよかったなーと思います。
ほわわわわ・・・と、やりたいことを思い描く時間は楽しい。




「ママじゃな」は2年目になってから、
【あの人に会いに行こう】というカテゴリーを作って、
性別・年齢・子どもの有無にかかわらず、いろんな人にモデルさんになってもらったり、的を絞ったテーマについて取材したりもしています。

一見、横道にそれているというか、当初の主旨から離れているようだけど、私たちにしたら自然な流れでして。

「小さい子どものママ」に、人それぞれ、いろんな性格や、趣味嗜好、経歴や考え方があるように、
ちょっと範囲を広げてみれば、男の人にも、年齢が上でも下でも、いろーんな人がいる。

そういう世界に私たちは生きていて、
そういう世界に子どもたちはいずれ出ていくんだよな、と思うのです。


私は出産以来、専業主婦として子育てをしていて、あたたかくも小さな世界で暮らしているから、
広い世の中に向かって、窓を開けておきたいなと思います。
いろんな風が入ってくるように。
時々そこから顔を出せるように。
外の世界に、思いきりよく子どもを送り出せるように。
(おっと、ポエムみたいなことを書きましたが 笑)


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いろんな人に会えば会うほど、いろんな話を聞けば聞くほど、
「みんなそれぞれ違うんだな」
と同時に
「みんなそれぞれ、いろいろ大変なことはある(あった)んだな」
と思い、
「だから自分は自分でいるしかないんだな」
と、あきらめというか悟りというか、妙にさっぱりした気持ちになったりします。



目立った活躍をしてる人や、特別な輝きを持った人「だけ」にアプローチする企画にはしたくない、って気持ちも変わりません。
日常の延長線上にあるような写真とお話。その中にある、普遍性と個性。
そういうのが大好きな私たちです。
「いやいや、私、何かをしてる人じゃないし」「話せるようなこと何もないし」
って人には、「いやいや、そんなこと言わず、気軽に出てみませんか?」とお願いしたい! 
なにげないおしゃべりをさせてください。
写真撮らせてくださーい! この先の人生で一番若い、今のあなたの写真を。


これからも、いろんな人に会えますように。
会いたい人に会いに行ける口実になる、すばらしい企画です(自画自賛)。
モデルOKのご連絡は以下にお願いします ↓
感想もいつでもお待ちしてます!
見てくれてる人がいると思うと、とても励みになります。

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