vol.6 やまぐち すみれ の 「ママじゃない私」 ポートレート
インタビュアー・エミが、ママになって最初に属したママ団体(笑)は、地域の育児サークルでした。公民館公認のサークルながら、未就園児の子をもつママたちが完全に自主的に運営しているものです。エミの加入時にサークルの代表をつとめていたのが、すみれさん。ほんとにステキな方なので、いろいろお話を聞いてみたかったのです。「私がモデルなんて、とんでもない~! 恥ずかしい~!」と躊躇されるのを押しに押しまくって! 晴れて取材にこぎつけました、わーい。おじゃましまーす! すてきなおうちー! あら?すみれさん、まだちょっと、ドキドキされてる・・・?
ほんとに私でいいのかなー。
―――もちろん!!
緊張する~~~
―――なんか私たちも緊張してきた(笑)。雑談、ただの雑談だと思ってくださいね。
(カメラをかまえるちひろに固まるすみれさん)
―――あ、ちひろさんは、こういう顔だと思ってもらえれば。カメラ付きの顔。みんな、最初は緊張するけど、だんだん慣れてくれますよ~。
―――(ち) もう、たくさん撮っちゃいますね~。撮られ過ぎて、気にならなくなるぐらいに(にこにこ)。
◆ナイショの職歴(笑)
―――事前アンケートを見ると、前職のこと「事務職」って書いてあるんだけど。幼稚園の先生をされてた、って話を小耳に挟んでたんですが・・・
あ、それね、あんまり言ってなくて。辞めてから、もうかれこれ10年ちょっと経ってるし・・・しかも自分の子育てが完ぺきでもないのに、「先生やってました!」なんて自信もって言えなくて、こそーっと、こそーっとしてるの(笑)
―――あー、まあ、わかる気はする。20代で独身で、子育て経験もなく、わけもわからずやってたところも・・・
そう~! 今思えば、よくやってたなーって。7年ぐらいかな。そのあとに、ちょっと似た仕事を4年くらい・・・
―――やっぱり、子どもと接する仕事?
えっとね、学生と。自分の母校の短大で、助手みたいなことをね。で、それを結婚することになって辞めてから、今度はパソコンの資格を取りにいったんだけど、そのコースの実習で行った税理士事務所さんが、「うちで働かない?」って言ってくださって、そのまま・・・。だから事務職もしてたの。嘘はついてないのよ(笑)
でも、妊娠したらつわりがひどくて、続けられなくなって・・・入院とかもあったから。
―――切迫(流産)とかだったんですか?
ううん、つわりがね。食べられない飲めないで脱水症状になって、40日くらい入院したのかな。妊娠期間中、とにかく、ずーっと、つわりだったの。
――――うわー、それきついわ・・・ (毎日二日酔い、を想像するエミ ← つわりがほとんどなかったので、つわりと聞くといつも 二日酔い を想像するのである。毎日が二日酔い・・・うへー死ぬー)。
だから、楽しいマタニティライフなんて、ないない(笑)。それから仕事はまったく。で、去年(子どもが幼稚園に入園して)一年間楽しかったんだけど、「そろそろ仕事もしたいな」って。
―――あ、自然とそういう気持ちになったんだ。
なんか、ひとりで家にいられなくて。おうちでテレビ見てゴロゴロ、みたいなのも好きなんだけど、ずーっとは、できなくて。社会からの疎外感・・・みたいなのもあるし、ゴロゴロしてる罪悪感もあるのかな。それで、予定入れちゃったり、友だちとランチや買い物行ったりして・・・それも楽しいんだけど、もちろん、お金の問題もあるし・・・
―――確かに、限界ありますよね、そういうことやるにしても。
そう、それで、そろそろ仕事かなー、と。ただ、5年のブランクはけっこう大きいし、子育て中心の今の生活も気に入ってるから、「まずは軽い仕事から、ちょこっと始めます」、って感じ。
◆「面倒見力」 と 「段取り力」 の謎が解けた!! / “あまたれちゃん”から 頼れるお姉さんに
―――(ちひろさんに向かって) すみれさんってこんな感じの方だから、(代表をつとめてた)育児サークルも、ほんと雰囲気が良かったんよね。
私は、サークルには、年度の途中から入ったんだけど・・・けっこう勇気いるやん? 「ママたちの輪」って、ちょっと怖そうなイメージっていうか先入観もあるし。でも、すみれさんがホントにいつも笑顔で、誰にでも分け隔てなく優しくて。みんなをまとめてくれるんだけど、「ついて来ーい!」っていうよりは、ほんとに同じ目線から、気さくに、包み込んでくれるような・・・
いやいや、あれは、他の役員さんたちもほんとにいい人たちだったから~~~(にこにこ)
―――うん、役員さん4人の結束もすばらしかった。イベントも、いろいろしましたよね。遠足、プール遊び、パン教室、消防署見学・・・。とにかく、すみれさんの段取りがすごいの! ちゃんと事前に、車を出せる人にお願いして、駐車場はココと、そこが満車ならココ・・・とかリサーチして、みんなで歩いて行くときも 「うしろ、ついてこれてるかな~?」とか、常に細やかな気配り。
「クリスマス会やろう」ってなったら「ツリー持ってきまーす!」、「みんなで集合写真撮りたいね」ってなったら「三脚、持ってきまーす!」。もう、すっごいな、って。
や、みんなでやるのが、楽しいから~~~(にこにこ)
―――アンケート見たら、趣味もすごいですよね。スノボ、旅行、キャンプ、登山、シュノーケリング・・・すごいアクティブ。
周りもそうだったの。だから27,8ぐらいまで、ほんとにみんなでよく遊んでて。幼稚園の先生って、そういうの大好きなの。まあ、田舎でのんびりした園だったから。家庭訪問終わったあとに、みんなで素潜りに行ってウニ獲ったりとか(笑)。
―――えーっ!
海も近かったから。それぐらい自由なの。子どもたちとも「遊んで過ごそう~!」って感じ。今思えば、「ほったらかしじゃない?」ってぐらい。今の先生たちはすごいよー、本当に良く勉強してるなーって思う。
―――確かに、うちの幼稚園も、先生たち絶対お給料以上の仕事してる気がする。
ねー。あのころは、ほんと楽しんでばっかりで。職場もみんな仲良くて、土日も一緒に映画行ったり、長期の休みになると北海道に行ったり仙台行ったり・・・
―――自由で、仲良くて。若いころの職場としては理想的かも。
そう、でも、だんだん上になってくると、責任もいろいろ出てきて・・・そういうときに、短大の先生から声がかかってね。学生さんに、「幼稚園って楽しいんだよー」ってわかってもらえるように教えるのもいいかな?と思って、短大に移って、助手に。
―――おもしろーい。学校の助手って、あんまり聞かない、珍しい職業って気がするー。
授業は先生がメインで教えて、私はアシスタントなのね。で、学生が実習に行くために、書類作ったり、幼稚園とやりとりしたり。何人いたんだろ。学生の実習先を、全員分、決めてあげたり。
―――すごっ! そのころから、面倒見の良さが!!
いやいや、すごく楽しかったから~~~(にこにこ)。
私、年の離れた姉と兄のがいて、末っ子でね。すっごくかわいがってもらってたの。「ほんと、すみれはいいね~、かわいがられて。 “あまたれちゃん” だね~」って。だから、逆に今度はかわいがりたい、って欲があったのかな? 小さいころから、年下の子と遊ぶのが大好きで、小学校高学年のころに幼稚園の子と遊んだり。職場でも、後輩と仲良くて。もちろん、すごくかわいくていい子だったからだけど。
―――(しみじみ)いや~、これで、面倒見の良さと段取りの良さの謎が解けた!! すごい納得。アクティブな趣味って、絶対、段取りいるもんね。何と何を持っていって、どういう順序で、どういう行動を・・・とか。
ほんと、全部、自分が楽しむためなんだけどね。
―――(ち) 私も年の離れた兄が2人いる末っ子で、甘やかされて育ったんですけど、それを下の人に返そうっていう発想が全然なかった・・・。環境は同じなのに・・・
(エミ、爆笑)
◆夜中にひとりで泣いてた産後
―――「ママとしての私」をすごく楽しんでる印象だけど、これまでの子育てで壁にぶつかったこと、つらかったこととかあります? 産後のベビーブルーとか・・・
私、母が他界してるので、産後すぐ、ダンナさんの実家に帰ったのね。ほんとにすごーく良いお義母さんなんだけど、それまで泊まったことがなくて、猫かぶってたんだと思う。でも、「産後だから、猫、外しま~す♪」ってできなくて。2時間おきにおっぱいあげて・・・みたいな時期でしょ? 夜はひとりでシクシク泣いてた・・・
―――うわー、そのつらさ、すごく想像できる! 胸が痛い。
冬で、家中、どこも締め切ってるから、夜の泣き声とかもあんまり聞こえなかったらしくて、「○○くんは、いい子ね~。いい子で良かったわね~」って言われるわけ。そう言われたら、笑って「助かってま~す」って言うしかなくて、でも部屋で泣いてる、みたいな(笑)。昼間はけっこうずっと、一緒に台所に立っててね。「寝てたら?」って言ってくれるのよ? でも、「大丈夫です」って言いながら・・・きつくてきつくておかしくなりそうで・・・あ、今思い出しても泣きそう。
―――(聞いてるだけでも泣きそう)
文句言う筋合いなんてひとつもないんだけどね、ダンナに、「かえりたーい、かえりたーい」って言って。
―――でも、ダンナさんには、そのつらさ、あんまり理解してもらえないものだったりするよね。
そう、お義母さんがひどい人ならともかく、本当にいい人だから。いじめられてりしたわけじゃないから。なんか、ホームシックみたいな感じだったのかなあ? そのときが一番つらかったかな~
―――産後って、経験したことのない自分があらわれますよね。ホルモンバランスなのかなあ。今は忘れてるんですけどね。
ほんと、今思うとなんだったんだろう?って感じでね。
◆「楽しまないと、もったいない気がする」
―――ダンナさんは、どんな人ですか?
クマみたいな(笑)。スノボが大好きで、一緒に行くようになってね。
―――あ、じゃあ、幼稚園の先生のころから?
そう、7、8年付き合ってから結婚して。つきあいが長かったのね。そのころは、特に子供好きとは思わなかったんだけど、今はもう、息子がホントにパパ大好きで、「なんでそこまで仲良いの~? うらやましい~!」って、焼けちゃうぐらい。パパが休みの日になると、なんでも「パパ、パパ」、「ママは、まっててね」なのよ~。
―――すごーく先の話ですけど、早ければ、息子さんが大学生になるタイミングで、実家を出る可能性もありますよね。ダンナさんと2人暮らしに戻ることって、想像できますか?
うーん・・・。うちのダンナさんは仕事の休みが平日だから、息子が入園してからは、平日の昼間に2人になる時間はあるの。そういうときは、今日これしたい、あれしたい~、って、まあ食材の買い出しとかが多いんだけど、ついでに2人でランチしたりね。そういう時間はすごく新鮮かな。まあ結局、2人で子どもの話してるんだけどね(笑)。結婚までの付き合いが長かったのもあるから、将来また2人暮らしになるのも、まあ、あんまり違和感ないかな。
◆
―――スノボにしろ、シュノーケリングにしろ、今はできない趣味がいろいろあるじゃないですか。それは苦痛じゃない?
若いころに結婚してたらつらかったかもしれないけど、も~う、ほんと、20代でたっっっくさん遊んだから! “やりきった”感があるかな。今は、子育てが、趣味っていったら変だけど、「楽しいこと」に入ってきた感じ? 今までにない楽しさだから。
―――(ち)なんか、すごく柔軟ですよね。出てくる言葉が、すごくポジティブ。見習いたい!
―――すみれさんは、そのとき、そのときで、いつでもどこでも「今」を楽しめるんでしょうね~。
もったない気がして、楽しまないと。せっかく同じことするなら、せっかく同じ一年を過ごすなら、楽しいこと、こんなことしたら楽しそう~、って過ごす方が、人生得した気がするの(笑)
★(終)
[編集後記]
エミ(インタビュー): 強力にプッシュして取材させてもらったんですが、その甲斐あってステキな写真がたくさん撮れて、推薦者としてうれしいです♪ みんなに愛を与えてくれるすみれさんのルーツが「あまたれちゃん」だったのがびっくりで、でもすごく納得する気持ちも。家族からさんさんと愛を受けて育つうちに、すみれさんの中にも、自然とたくさんの愛情が醸成されていったんだなーって。たっぷり愛されて育った強さとポジティブさを感じました! ちひろちゃん・・・がんばろう(笑)。私も下の子で「あまたれ」よ☆
橘 ちひろ (写真) : すみれさんの緊張に私まで緊張しちゃった(泣)今尚「あまたれちゃん(@すみれさん)」橘です(笑)。撮影後はあまり自信なく、どうだったかなぁとドキドキしながら帰ってさっそくモニターチェク。みた瞬間ホ~っとしました。表情豊かなすみれさんがたくさん写っていてすっごくキュートでした♡もっともっとおしゃべりしている顔・おどろいた顔・ひょうきんな顔、載せたかったくらいです!