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“ママじゃない私” ポートレート

いつものあなたの、いつもと少しだけ違う顔。いろんなママたちの、「ママじゃない顔」ポートレート。

特別編:デンマーク研修レポート(下)私たちも変われるかもしれない


前の記事、 「特別編:デンマーク研修レポート(上)デンマークってどんな国?」の続きです。

 

茉莉ちゃんのレポートで、もっとも驚き、また印象深かったのは、

デンマークは4時には既に帰宅ラッシュで、
5時ごろには家族が帰宅し、そろって夕食を食べるのがあたりまえ

ということでした。

自動車税が高いこともあり、コペンハーゲンでの主な移動手段は自転車。
専用の自転車道が整備され、子どもを乗せる前カゴ(デンマークは寒いのですっぽりと覆うボックス仕様)つきの三輪自転車で通勤する男性も多いそう。

 

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コペンハーゲンの通勤ラッシュ)

 

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(カメラを向けると恥ずかしがって顔を背けた子を見て茉莉ちゃん、うちの子と同じだなーと思ったそうです)


報告会に同席されていた、福岡ジェンダー研究所理事の倉富史枝さんが

男女共同参画の問題に長年取り組んできたけれど、結局は労働問題に帰するように思います」

とおっしゃっていたとおりですね。

保育所や教育やシングル家庭・・・いろいろな問題がありますが、
結局は、働く環境や働き方が変わらなければどうしようもないよね、って話なんだよな。



さて、わたくし。
この「ママじゃない私、ポートレート」を2年半やってきて、
特別編も含めれば、25人以上の方々にインタビューさせてもらいました。

始めたきっかけは、

「子どもを産むと、「○○ちゃんのママ」と認識され、呼び合うこともあるけど、
 一人一人のお母さんにはそれぞれの個性や生活があって、
 年齢も出身地も趣味も性格も、学生時代や独身時代にやってきたことも、全然違う。
 そういう姿を写して、話してもらったら面白いんじゃないかな。」

という気持ちからでした。

多様性を描き出す企画にしたかったんです。
実際に、多様性、出てるよねって思います。
色とりどりのパレットのように。

いろんな人に話を聞けば聞くほど、いろんな人がいて、いろんな人生があるなーと思います。

けれど最近、同時に、

人々はこんなに多様性に富んでいるのに、社会の枠組みはとても窮屈で強固なものだな、

とも思うのです。

結婚や出産で仕事を辞めている人が本当に多い。
将来的にも、家庭との両立を考えるとやっぱりパートタイマーかな、とか。
ええ、企画者である私やちひろちゃんからして、そうなのです。

私自身もそうですが、専業主婦であることを本人が不満に思っているわけじゃない。
「もともと大した仕事をしていなかったし、仕事の能力が高い人間じゃないし。」
・・・と、多くの人が言います。

でも、家事や育児にだって、
段取りや忍耐力、対応力やコミュニケーション力など、
かなりマルチな能力が必要ですよね。
そのうえ、PTAなど煩瑣な「お仕事」を立派にこなすママたちもたくさんいます。

 

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茉莉ちゃんのレポートで興味深い話がありました。

就職の面接の場面での実験。
 「男性と女性が、まったく同じ履歴書を持ち、まったく同じ発言をする。
  面接官の反応は男女で全く違って、
  男性と同じように振る舞う女性は傲慢で売り込みすぎだと評価され、
  採用は男性に決まる。」

 

うわー、現実にありそう!

学校を出て就職する段階で、
男性と女性は既に、はっきりと区別されているんですよね。
女性に割り当てられるのは、補助的な仕事だったり。

女性のほうもそれが当たり前だと思っていて、
能力があっても、目立つのを避けて遠慮しがちだったりする。
そして、結婚し、出産し、職場を去る。
持てる能力を発揮できる機会がないままの人も多いんじゃないかな。


「私は専業主婦でいい。外の仕事より家の中の仕事の方が好きだし、
 子供の成長をじっくり見ることができる」

という意見もあり、これまた私もそうなんですが
(いや、別に家の中の仕事が好きなわけでもないな…←ものぐさ人間)、

それが女性の特権のようになっている社会の実態はどうなんだろう?とも思うのです。
男性の、いわゆる専業主夫の人もいるでしょうが、女性に比べると、きっと肩身が狭い思いをすることも多いじゃないかな。

私自身、「ママじゃな」みたいな企画をやったり、
子どもの幼稚園の行事や放課後の時間にかかわる時間は楽しいものですが、
その分、私の夫が外で働いていて、つまり夫には、そんな時間も機会もずーっと少ないわけですよね。
なんかごめん・・・って気分にもなります。

だって、子どもが小さくてかわいいのは、人生の中ではわずかな期間なのに。

夫も妻も両方が、家事にも育児にも仕事にも、半分半分くらいでかかわれたらいいなと思います。
いや、人には向き・不向きがあるから、必ずしも半々じゃなくてもいいけど、
男性は外働きが当たり前だよね・・・家族の世話は女性メインの仕事だよね・・・みたいなのが暗黙の了解のように共有されるんじゃなくて、
個々の家族、それぞれの希望が叶いやすい社会だといいなー、と。

 

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実際は、ママじゃな のインタビューで聞いていても、周囲の知人友人を見ていても、
仕事をしている・していないにかかわらず、
家事や育児の作業の大部分を妻のほうが担っている夫婦がとても多い。
残業や休日出勤が多いダンナさんもたくさんいます。

そして、それをみんな「しょうがない」「当たり前」だと思っている。
多かれ少なかれ、みんなそういう中でがんばってるんだから。
もう慣れてるから。
夫に仕事があるだけ有難い世の中だから、と。
たまたま夫の理解や協力が得られている女性は、「私はラッキー」「恵まれている」と言う。

もちろん、受け容れざるを得ない現実があるわけです。
夫(自分)の職場の環境なんて、変えられないし。
とにかく夫がいなかろうが何だろうが、家事育児を回さなきゃいけない。
毎日忙しくて、あれこれ考えるヒマも余裕もないですよね。

でも、個人の生まれや育ち、性格や価値観はこんなに違うのに、
この社会のあり方への態度は、驚くほど共通しているんだなあと、考えてみれば不思議です。
ある意味、子どもの頃から、「それが普通だ」と刷り込まれているのですよね。

 


だから、茉莉ちゃんのデンマーク報告がとても響きました。

4時に帰宅ラッシュ。家族そろっての夕食。休日。
保育所が足りないなんてことはない。
教育費と医療費が無料。

そんな社会も存在してるんです。
私たちは、それを望んでいいんだと思いました。

しかも、それは、デンマークの伝統的風景ではありません。
人々の願いが結びついて、この数十年間で実現してきたことなのです。

倉富さんは、
「家族が愛情を持てる社会づくり」とおっしゃっていました。

家族だから愛し合い助け合うのが当たり前なんじゃない。
保育や医療、介護の環境が充実していて、家庭の中で何もかもを背負わなくていいから、家族が仲良くいられるのだ、と。

子どもたちが子育てをするときには、
変わっていってほしいなと思います。
これは、分不相応で贅沢な願いじゃないはずだ。

私たちが「今のままでいい、しょうがない」と思っていれば、
子どもたちの時代にも、変わらないでしょう。

変えていきたいんだと思って、
そういう目で政治を見つめ、参加していきたいなあ。

政治参加って大ごとのような気がするけど、
茉莉ちゃんも言ってました。

「専業主婦の私が、こんな研修に参加していいのかなと思った、実際に専業主婦は私だけだった。でも、本当はそれが政治参加だし、男女共同参画

広い世界を知ることって大事ですね。
地に足のついた生活は大事だけど、身の回りだけを見ていると、どうしても固定観念にとらわれてしまいます。

知ることが、第一歩。
そう思いながら、新しい年齢を始めたのでした。
・・・そうっ! この日、私の誕生日だったんです!!
またひとつ大人になったとですたい。

長い文章を読んでくださった方がいたら、ありがとうございました。
茉莉ちゃんにも、報告会に携わった皆さまにも、ありがとうございます。

 

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