番外編: 好きなものを好きと言う
こんにちはー。納豆パスタに凝ってるエミです。
◆蜘蛛の精と、まさかの…
「やるべきこと」はあります。一応、いい年した大人だからして。家族のごはん作るし、子どもの雑巾も縫います。
でも、「やりたいこと」についても執着したいと思ってます。
せっかくご縁があって出会うママ友たち。「○○ちゃんのママ」としてだけじゃなく、その人自身についていろいろ知りたいな。
そんなこと思って『“ママじゃない私”ポートレート』やってる人が、SNSのアイコンを子どもの写真にするのも、芸がないかしらねぇ。
ってわけで、今、私のLINEのアイコンはこんなのです。じゃーん。
当代(四代)市川猿之助が歌舞伎で演じる「蜘蛛の精」。大好きなんです。これねー、この妖精さん(おっさん)が、客席に向かって無数の蜘蛛の巣をパァーッと投げてくるのが、超快感なのですよ!!
うん、実際は、友だちリスト見たとき、ママ友って、子どもの写真のアイコンのほうが分かりやすいよね!(笑) LINEで繋がってるママ友たちには、「このアイコンの主、誰ぞ?!」って感じだろうし、ギョッとして引いてる人もいるかも・・・。
と、申し訳なさや不安を感じなくもないのですが・・・「ん?」ある日、ふと目に留まった、友だちリストの中の、とあるアイコン。
おっさん。渋いおっさん。これは・・・友だち本人の写真じゃなく、ダンナさんや恋人でもなく・・・
そのアイコンに話しかけてみた。
「伊武雅刀?」
「そう、よくわかったね!」
激渋いおっさんのアイコンが答えた(笑)。アイコンの主の彼女、中学のころから大ファンらしい。
伊武雅刀。いいよね。20年くらい前の大河ドラマで黒田官兵衛を演じていたのが、私と彼との出会いでした(出会ってはない)。2007年の大河『風林火山』での太原雪斎役も、すごーく良かったです!
・・・そんな 「伊武雅刀と大河ドラマ」 マメ知識はともかく、比較的新しいママ友に、こんな大胆不敵なアイコンを使う人がいるとは・・・。よかった、とてもうれしい。愉快な気分です。
◆「愛してる」と声を大にして言える幸せ
ママ友って、その人自身のことはよく知らない場合も多いから、どこまで自分を出していいものか、躊躇しちゃうことってある。
浮かないか? みんなと違わないか? 変な目で見られないか?
実際には存在してないかもしれない同調圧力を、勝手に感じちゃったりして。
世間の無言のプレッシャーもあったりする。電車の中でのベビーカー論争とかマタニティマーク論争、最近もありましたよね。
「自己責任で子ども作ったんだから、良き妻であれ、良き母であれ、そして世間に迷惑をかけるな。」
でもね。
子どもがいようと夫に扶養されてようといい年こいてようと、私は、自分の好きなものは、めちゃ大事にしたいと思ってますね。
はっぴいえんどはぼくが世界で一番好きなロック・バンドのひとつだ。ぼくらが『若者たち』や『東京』というアルバムを出した頃には、インタビューなんかでホントによく「はっぴいえんどに似てますねぇ」と言われた。
それも、ちょっとした皮肉のつもりで言ってくる人が多かったので、ぼくははっきり「はっぴいえんどが大好きで、とても大きな影響を受けている」と答えていた。
好きなものが好きで何が悪い? こっちは「愛している」と声を大にして言える幸せを知っているんだ。
サニーデイ・サービスの曽我部さんのエッセイや日記が収められたこの本は、全編、すごく風通しがいいんだけど、ここを読んだら、とりわけ、いつも元気が出てきます。
好きなものを大事にする、大好きだと堂々としてるって、「自由をめざす」ことだと思う。
空気読んで、まわりの顔色うかがって、自分を抑えて・・・それは不自由。誰だって、不自由に生きたくはないでしょう。自由がいいに決まってる。そりゃまあ、大人として、良識とかバランスとかは考慮するけども。
◆大人になったほうが自由だよ、と
他の人が自由に生きてるのを見るのも好きです。
私は、サッカーにもアロマにもお菓子作りにも疎く、園芸も編み物もしないし、アニメやバイクや釣りから遠い生活をしていますが、それらを好きな人が、それらについて生き生きと語るのを聞いてると、楽しい気持ちになります。
この人、自由に生活してるなーって。
やっぱり、大人は不自由を強いられるとこもありますよね。仕事、育児、介護。ご近所づきあい、親戚づきあい、経済的な問題。だからこそ、心には「好き」を抱き、いつも携えて、できるだけ楽しく生きたい。
子どもにも、それを見せたいと思ってます。
大人になるのはつまんないこと、しんどいことじゃない。そりゃ仕事や家族に拘束されることもあるでしょう。でも、大人には経験があり知恵がある。人脈も、行動範囲だって大人の方が広い。成熟するということは、人生をもっと楽しめるということ。大人のほうが、ずっと自由なんだって教えたい。
あ、好きになる自由があるってことは、好きにならない自由もあるってことでね。
たとえば私の夫なんか、嬉々としてオタク&ミーハーしてる私の横で、会社から帰ってきたらダラーっとテレビ見て、週に何度かお酒を飲んで、食べログとサッカー関係のサイトをチェックして、「俺の趣味・・・なんだろう・・・料理?」って言ってるぐらいの人です。
だけどそれでだいたい機嫌よく、楽しく暮らしているのです。彼の人生はすばらしいと私は思う(休みの日に料理作ってくれるから、ってだけでなく!)。
私だって、お菓子作りもパン作りも園芸も編み物もしません(あ、お菓子作りは最近、ちょっと興味あります)。いいお母さん、いい女っぽい趣味とか全然ありません。でも、それはそれでしょうがない。卑下はしない。
好きなものも、別にプロ級に極めてるわけじゃなく、下手の横好きばっかりです。でも、好きなものは好き。大好きです。
★
以前、幼稚園のママ友が、ふとした話のついでに言ったことがあります。
「まずは、私たち大人が個性を尊重しあうことが大事なんだろうね。
子どもたちが、そういうふうに育つためには。」
それよー、それそれ!
自分の好き(嫌い)を大事に。そして、他の人の好き(嫌い)を尊重しよう。
・・・そんなわけで、私のLINEアイコンは今日も元気に歌舞伎の「蜘蛛の精」です。次に変えるときは、小栗旬か松潤にしようかなって思ってます。いや、瑛太・・・窪田正孝くんもいいな(はぁと)。
(撮影 橘ちひろ)