vol.24 おかじぃ の 「ママじゃない私」 ポートレート
1歳の息子ちゃんのママ、おかじぃ。私(インタビュアー・エミ)は会うの3回目くらいかな?
はじめ「ママじゃな」に出てみませんか~!とお誘いしたとき、「えっ、私、何も話せること…」っていう素振りもあったんだけど、「考えてみたらこんな機会なかなかないし」と引き受けてくれました!
お話聞いてみるとホントに面白くて、いつもながら「何もないなんて人はいない!!」と世界の中心で叫びたくなる私です。そして、おかじぃったら料理がとっても上手…☆
◆宮崎出身、三姉妹の末っ子です
―――お姉さんたちと、割と年が離れてますよね。
上が9歳差、下が6歳差です。
―――それで、「生意気な子だった」ってアンケートに書いてあったけど、生意気ってどんな感じだろ。
「関係ないじゃん」とか言ったり。保育園生で(笑)。
―――(ちひろ)いるいる、そういう子(笑)。
姉の影響でそういうこといろいろ言ってたんですよね。
―――私も姉と5才差だから、わかります。真似するんだよね何でも。お姉さんたちにはすごくかわいがられてたんじゃない?
いやー、けっこういじめられてましたよー(笑)。
―――あら。じゃ、鍛えられたのかな。同年代の中では強かった?
あー、そうですね。口喧嘩では勝てない、みたいに言われたりして。小学6年のとき、班替えのあと廊下を歩いてたら、「私、○○さんと一緒の班になっちゃった」っていう声が聞こえてきて、「あ、やばい。私嫌われてる」って思って、それから変わりましたね。人の目を気にするようになりました。
―――おかじぃが悪かったかどうかは別にして、それ聞いちゃったのはけっこう大きな出来事ですね。
自分が言ったことはすぐ忘れちゃうけど、言われたことってずっと覚えてるんだろうなって思って。ひどいこと言っちゃったのかな、って。
―――自分が変わったことで、周りも変わった感じはありました?
中学生になって、友だちの顔ぶれが変わった気がしますね。それから仲が良い子は、ずーっといいですね。
―――親御さんはどうでした? 末っ子って、親にとってはいつまでも一番小さいかわいい子だと思うけど。
親はかわいがってたんだろうと思います。姉たちも、親が私にだけは甘い、みたいなこと言ってましたね。でも、私は厳しいと思ってました。母は特に。
―――厳しいってのはどういう方向で? しつけとか?
そうですね。高校の時にストレートパーマが流行って、みんなやってるから私もこっそりかけたんですよ、お小遣いちょっと足して。そしたら、母がはさみを持って追いかけてきた。
―――えーーっ!
「パーマかけて学校に行くなんて! そんな子に育てた覚えはない!」って(笑)。
―――(ちひろ)ストパなんだけどね(笑)。
そう(笑)。「とってきなさい!」って言われて泣く泣く行ったけど、「え? ストパをとる?」って感じで。
―――むしろ、巻くしかなくない?みたいな(笑)。
結局、ベリーショートぐらいに切って許しを得ました(笑)。
◆初めて自分で選んだ王子さま(笑)
―――中学時代は小沢健二一色だった、とのことだけど、私も小沢くん大好きなので、ここはぜひとも聞いときたい! アルバム『LIFE』が私の高校時代だから、そのころおかじぃが中学生だよね。
そうですね。中学1年か2年のとき、友だちがカラオケで「それはちょっと」を歌ったんですよ。
―――ほうほう!
―――(ちひろ)すごいね!!
「あ、何この歌、すごくいい~」と思って。あの歌、カップリングじゃないですか。で、そのシングルを買ってきて、両面聞いたときに、「なんていいんだ!」と思って、それからバーッと買いそろえていって。
―――うんうんうん。
それからずっと好きでしたね。
―――なんか、それまで聞いてた歌と違うよね。たぶん。
ですね。それまでは、米米CLUBとか聞いてたから。姉が好きだったので。
―――わかる! うちの姉もそうだった!!
ずっと姉の影響が大きくて、だから初めて好きになったアーティストっていうか。
―――初めて自分で選んだんだね。
そうですそうです。それがオザケン。
―――本人のことも好きでした? 「おざわくーん!(ハート)」って。
うんうん、王子さまって・・・(笑)。
(おかじぃ・エミ同時に) 「子猫ちゃんになりたーい!」 (笑笑笑)
―――小沢くんは何年かでパッタリ表舞台から姿を消しちゃったけど、そのあとはどんな音楽聞いてた?
えーっと、高校まではずっとオザケン一色で、そのあと就職してからGLAYになって。
―――おーっ、また何か変わったね。オザケンからそこにいくとは、なかなか意外な(笑)。
JIROちゃんが好きだったんですよ。
―――あー、ちょっとかわいい系の。
そう。だからちょっとつながってたのかな。
―――すごく流行ってたよね。当時。
北九のGLAY EXPOとか行って、えらいハマってましたね。
◆18才、放たれた鳥!
―――高校出て就職して、それが・・・。
福岡です。
―――わーっ。すごいねー。
―――(ちひろ)すごい!
―――18才で宮崎から福岡に出てくることには、全然抵抗なかった?
まったくなかったです。早く出たくて。
―――抵抗どころか、むしろ出たかったんだ。
周りを変えたいって思ったんですよ。何か違うコミュニティの中で暮らしたい、全然自分を知ってる人がいないところに行きたいと思って。
―――親御さんは、福岡でもどこでもいいよ、って感じでした?
配属されたならしょうがないねというか。割と堅い職種の、しっかりした会社だったし。
―――じゃ、もう、最初から一人暮らしですか?
そうです。
―――すごいねえ。でも楽しいよね~
楽しかったーーー!!
―――うきうきするよねー。初めての一人暮らし。
何やっても自由だ―!と思って。
―――でも、ちょっと里心ついて、淋しくなったこととかなかったですか?
いや全然。もう、放たれた鳥のように。ピュー!って。
―――のびのび(笑)。仕事も全然大丈夫だった?
仕事は大変だったですね。覚えること多かったし、ちょこちょこ変わるし。でもそれより、アフター5楽しかったなー、てことしか、ほぼ記憶にないです。
―――最初っからお酒が強かったの?
なんかそうだったみたいですね(笑)。
―――そんなにも飲むって知らんかったよ。飲み会好きって、誰とそんなにしょっちゅう飲んでたの?
うーん、自分の友だちとかもあり、会社もあり・・・
―――飲むのが好きなん? それとも飲み会の「会」的なのが好きなん?
なんだろう(笑)。テンション高くなって騒ぐのも好きだったかな(笑)。楽しかった。飲み会はいっつも、必ず最後までいましたね。
◆料理人生の原風景
―――お料理はいつからしてたんですか?
かなり前からですね。うちの両親は共働きで・・・最初に作ったのは、きゅうりを使った料理だったんですよ。小学1年か2年だったと思うんですけど、土曜日の午前中授業の日に。
火を使っちゃダメといわれてたから、扱えそうなのがきゅうりしかなかったんです。そのとき私きゅうり苦手だったんですけど(笑)。
―――苦手なもの使ってでも料理してみたいと思ったんだね。
みじん切りにしてみたり、長いままとか3,4品・・・切っただけですけどね(笑)。しょうゆをかけてみたりとか。で、母が仕事から帰ってくる時間に合わせて、陽のあたるところにアイロン台を出して、並べて、2人で食べた記憶があります。
―――アイロン台を、陽のあたるところに。
台がないなーと思って。食卓じゃなくて、家の中でいちばん陽があたるところに、なぜか持って行って。
―――なんか、思い浮かべてみると、すごくあったかい、いい光景だね。
全部きゅうりなんですけどね(笑)。
―――でもお母さんすごーく喜んでたんじゃない?
うん、お母さん喜んでた。
―――いい思い出だ~。
それからいろいろやるようになって、学校の調理実習とかでも、なんか勝手に食材持っていってアレンジしたりしてましたね。
―――そのころにはもう、かなり作れるようになってたんだね。お母さんかお姉さんに習ったりしながら?
いや習ってないですね、自己流。
―――その自由にできる感じが楽しかったのかな。
母が忙しかったから、食べたいものは自分で作る感じでしたね。
―――独り暮らし始めたときは、もう最初から普通に自炊してた?
やってました(即答)。
―――そっかー。そこから初心者スタートする人が多い中でね。でも、自分のキッチンってやっぱりうれしかったんじゃない?
はい! 2口コンロがおけるところで部屋を探して。最後、そこを引っ越す時に、ガスの検針の人に「あなたはちゃんと料理やってたでしょ」って言われました。単身者向けのマンションだったんですけど、「ここだけいつもメーターが伸びてるから」って。
◆食事を作る、食事を考える。
キッチンに立って、お昼ごはんの用意をしてくれてる、おかじぃ。
を、ワクワク見てる私たち。すみません・・・でも、達人の技を垣間見るのが楽しい!
―――やっぱり、普段やり慣れてることをする姿って綺麗だよね。
―――(ちひろ)座ってお話してるときの綺麗さとは、また違うんだよね。
―――たぶん、やり慣れてることって、無駄がない動きをしてるから、美しく見えるような気がする。
料理をしない日は、ある?
ないですね。(←サラッと)
―――(ちひろ・エミ)わあー!
―――したくない日、ないと? したくなくならない? 「んもう、今日はせん!」って。
いやあ~、ないかな~。なんか作ってますね。絶対。簡単なものでも。
―――(ちひろ)料理が苦痛に思うとき、ない?
うーん、ない(笑)。
―――おかじぃは野菜ソムリエの資格を持ってるんだよね。いつ取ったの?
就職して6年半福岡で働いて、転勤で宮崎に戻って働いてるうちに、「このままでいいんだろうか?」ってふと思ってしまって・・・
―――25才くらいだね。
仕事にそんなに愛着があるわけでもないし、レセプト(医療報酬の明細書)で病名をずーっと見る仕事も、しんどくなってきて。それじゃ何をやろうかなと考えたとき、とりあえず野菜ソムリエの資格をとろう、とって辞めよう、でカフェを開こう!と思って。とって、やめました。会社を。
―――自分でごはんを作って出すカフェってこと?
そうですね。野菜料理のカフェがしたいと思ったんですけど、やっぱり勉強するにつれ、現実は厳しいぞと。出店となるとやっぱりお金もかかる、とっても。
―――「お店やろう」まで考えること自体すごいよね。
なんか、人が食べてるの見るの好きなんです。
―――へー、それはまさにお店の人の適性あるね!
それから、すごい人気のパスタ屋さんで働いたり、マクロビのお店でも働いてたよね。マクロビはやっぱり魅力的だった?
面白かったですね。肉を食べないっていうのがまず衝撃的だったし。当時はいろいろ勉強したりしてましたね。
―――でも、今はそこまで厳密にやってないと聞いて、今日は普通のおにぎりとかパンとか持ってきましたが(笑)。
子どもができてから主人ともいろいろ話して、自分が本当にマクロビをやりたいのか、できるのかって考えたんですけど・・・。子どもに「どうしてマクロビしてるの?」って聞かれたときに、ちゃんと答えられるのかなと思って、ちょっとゆるくいこうと。
―――なるほどね。身体にいいことをしてるはずだけど、子どもにしたら、みんなとどうして違うのかわかんなくて、逆に生きにくくなるかもしれない・・・。
とりあえず、なるべく普通に育てていこうかなと思って。
―――あんまり、あれはダメ・これはダメって感じになりすぎるのもね。
―――(ちひろ)「これはいい」なら、まだいいんだろうけどね。「野菜はいい」とか。
―――大きくなって子どもが自分で選ぶならそれでいいんだよね。マクロビでも何でも。とにかく、今の時点から、そういうことをちゃんと考えて話し合ってるのがすごいなあ。
◆子どもは育つ、どうやっても。
―――「母乳育児がうまくいかなくて」って書いてあったよね。今は息子ちゃんもこんなに元気に大きくなって、どうやっても子どもは育つっていう実感もあると思うけど、そのときは相当つらかったんじゃない?
もう、ほんと毎日、涙が出て。なんでおっぱいをあげられないんだろうと思って・・・
―――あー・・・つらいよね・・・。
この人、こんな感じ(息子ちゃんは離乳食をもりもり食べる子です!)だから、いっぱい飲みたいのにこっちはあんまりでなくて、需要と供給が全然バランス取れてなくて。
―――(ちひろ)焦ると余計にね・・・。
だんだん、この子が、おっぱいを見るのも嫌になって。授乳体勢にしただけで、のけぞって大泣きするんですよ。
―――あああ、つらい・・・
助産師さんは、「大丈夫大丈夫、何度でもくわえさせて」って言うけど、子どもは泣き叫んでるわけじゃないですか。あーもうだめだーと思って。
―――それが、どれくらいのとき?
生まれてすぐからそういう感じだったんですけど、やめたのが4ヶ月くらいだったかな。
―――そっかー・・・。つらかったね、4か月間。
お母さんが授乳してる画像って、幸せそうじゃないですか。そういう気持ちを味わいたかったな、ていうのはありますね。
―――でも、ほんとよく食べる子だよねー。
こういうことだったか、って思います。量が必要。
―――(ちひろ)だから、ここに生まれてきたんだよね。
―――そうだよー美味しいもの、どんどん作ってくれるから。「妊婦時代の理想の子育てにこだわらなくなった」って書いてたのは、母乳をやめたのとも関連してる?
そうですね、なんかもうどうでもよくなってきて。オーガニックコットンの肌着とか・・・高ェ高ェって。
―――だよね(笑)。
布おむつもやってみたけど、「何を血迷ってるの」って一番上の姉に言われて。
―――(笑)
「この時代よ」って。「しかも、おっぱい出らんで大変で、あんまり寝てないのに、布おむつなんか洗いよったら大変やろ」って、紙おむつ送ってくれて、それからずっと姉が。
―――えっ。今も? 1年以上?!
「私がずっとおむつは送るから」って。
―――えーっ。すごい! やっぱりかわいいんだね、心配なんだね、妹が! いいお姉さん~!
(おかじぃが作ってくれた離乳食後期・お子様ランチ風 ! 私も息子の残りをいただきましたがすごく美味しかったです。そして・・・おかじぃの息子くん(1歳2カ月)はこの量をペロッと平らげていました!すごい!このご飯を食べに彼はここに生まれて来たんだよね、きっとそうだ! By 橘)
◆いろんな時代を経て、夫の視点も得て、今。
―――ダンナさんは高校の同級生だったんだよね。
はい。彼と結婚するっていうのが、本当に思ってもみなくて…
―――(笑) あ、ずっと付き合ってたんじゃないんだ?
5年くらい前からかな? 卒業してからも遊んではいたんですよね。で、彼が転職して福岡で働き始めて、久しぶりに会ったとき、私マクロビのお店で働いてて、ショートカットでほとんど化粧もしてないような感じだったんですけど、それがなんか良かったみたいで。
―――良かったんだ(笑)。
けばけばしい金髪パーマの私よりも・・・
―――えーっ、けばけばしい金髪パーマのおかじぃがいたの?! 衝撃やね。今日いちばん驚いたかも(笑)。想像できない!!
ピンクの爪で、ハイヒールで(笑)。それが彼はイヤだったらしくて、そのとき初めて「今がいいよ」って言われて、で、なんか付き合い始めて。
―――ひゅううう! 「自分が感情的だけど主人が冷静なので助かる」って書いてたよね。おかじぃ、いまお話してるととても冷静で理知的な感じだけど。
いやー、感情的になりますよー。特に夫婦で話し合いするときとか。話し合うときは感情的になっちゃいかんと主人には言われます。
―――む、難しい。感情は入るよー。人間だもん。ご主人は感情を排して話し合ってる?
そうですね。ちょっと変わってるんですよね。彼は100%じゃなくて50%がいい、っていう性格で。100%でやったらダメなんだって。そういう理論らしいです。
―――へえー、すごいコントロール力! でも、意識的にそうしてるってことは、もしかしたら、ストッパーを外したら、本当はとても情熱的で一直線な性格なのでは・・・?
―――(ちひろ)結婚生活とか、子育てにあてはめると良さそうな理論だね。余白があって。
―――そうだね、一時の感情で自分を見失わずにいられるよね。
結婚して、自分と全然違う人と一緒に暮らすって、自分も変わるっていうか、一人の時とは違う視点で物事が見られたりして、新しいものが見えてくるのかもねー。
そうですね~。私にはちょうどいい人なのかな(笑)。
(おわり)
【編集後記】
インタビュー:イノウエ エミ
おかじぃの印象は、透明感。体にいいもの、体が喜ぶものを日々作って食べている人の健やかさ。お話を聞いていてその印象が強まっていただけに、金髪ソバージュ話には驚きました(笑)。いや~、人に歴史ありですね!
ここに載せた以外にも食に関する話をいろいろ聞いて、面白くて。食事って身近なことのようで、突き詰めて考えていくと思想になるんですね。食べることは生きることに直結していますもんね。
だからこそ、「もっと良いものを・もっと理想を高く…」となるのもわかるのですが、おかじぃは、野菜ソムリエやマクロビオティック、いろいろ勉強して仕事もしたうえで、いろいろ考えて話し合って、「ちょっとゆるく」を選択。その“意志のある、ゆるさ”も1つの立派な思想だと思いました。
「飽きっぽくて何でも続かないんですよ~」と自分では言ってたけど、「料理したくたくない日がない」ってすごいよね! 今は育児日記も続いているそうです。きっと、本当に大事なものを、もう見つけてる人なんだって思います。
お料理ほんとに美味しく、きびきびと立ち働く姿もすてきでした。ごちそうさまでした! そして、そんな彼女に「お酒大好き~! 飲み会大好き~! 最後までいます~!」みたいな一面があるのもすごくいい(笑)。人は多面体ですね。
撮影:橘 ちひろ
色々あって、遅くなってしまい申し訳ありませんでした~(汗)
おかじぃのポートレートどうでしょうか?一枚目は私がビビビッときた写真です。このはにかみ笑顔、見た瞬間こちらまでニンマリなってしまいました。大人の写真ではなかなかないことだと思います。
美味しい美味しいお食事の後、屋外でも写真を撮ろうと思っていたのですが息子さんがお昼寝に入ってしまったので今回はもうこれで作成しようということになりました。こんな感じが無理なくて良いなと思います。こんな感じが子育て世代に必要な余白かもしれない・・・ふんわりとした余韻を感じながらバスで帰りました。
インタビューは健康や食事の話のとこなどたくさん話に入り込んでしまいました。エミちゃんが上手にまとめてくれて目立たなくしてくれていますが。質問がどんどん出てくる自分の口に驚くほどです (笑)。
おかじぃのごはん、本当においしいのですよ。(今度飲もうねー!笑)