vol.13 野田綾子 の 「ママじゃない私」ポートレート
ついに幼稚園のママ友の捕獲(笑)に成功しました! ふふふ、これからじゃんじゃん登場していただきたいものです。綾子さんはインタビュアー・エミの先輩ママ。年中さん男子のママさんで、園で夏祭りの委員を一緒にやったことからお話するようになりました。そのときの綾子さんは副委員長だったのですが、彼女には、もうひとつの顔が。 「福岡乙女カメラ部」 の部長さんなのです。部員18人(くらい)、創部は8年前というから驚き!
◆80代になっても乙女でいきます!
―――そもそも写真を始めたのはいつ?
いちばん最初は、高校生の頃かな。“写ルンです”で友だちと撮ってた。
―――そう、写ルンです時代だよね!! デジカメとか、まだなくて。
どうでもいい写真・・・たとえば「先生に怒られてるふうの写真を撮ろう! 先生、こっち来て出席簿でちょっと叩いて」みたいなの撮ってた、ワーワー言いながら。そのころの写真、今見ても楽しいよ、バカだなーって。
―――(ちひろ) すごいなー、「アウフォト」(写真雑誌)とかヒロミックスとか出てくる前の時代だもんね。
―――「写真で遊ぶ」っていう感覚、まだなかったかもね、その頃。
でもそのあとはずっとやってなくて。20代後半に、ロモLC-Aって知ってる? トイカメラが流行って、買ったんだよね。けど全然わかんなくて・・・写ルンですって押したら写せるやん? でもトイカメラは、絞りとかシャッタースピードとか・・・全然わかんなくて、適当にやってて。
またしばらくして、30才過ぎて、ふと、ヒマだなーって時期があって。彼氏いないし、友だち少ないし(笑)。「自分、30才で何もないって悲しくない? 独身30才彼氏なし趣味もなし最悪! 何かしよう」って。で、実家にちょうど、ニコンのF501っていう、父親が昔買った一眼レフがタンスに生のまま突っ込んであってね、それを使ってみたいなと思って、写真教室に行ってみよう、って。
―――ちひろちゃんも行きたいって言ってる野間の写真教室ね。なんか、けっこう厳しいっていう話を聞いたけど・・・
みんな、人の写真にめっちゃくちゃ意見言うけんね。ほんわかしてる雰囲気じゃない。
―――ダメ出しされたり?
ダメ出しもあるし、自分も、意見言わなくちゃいけないし。先生のことも、私は好きなんだけど、今でも会うとちょっと緊張する(笑)
―――すごいね、ほんと「先生」って感じだね。大人になってから、ビシッと言われたり怒られたりって機会、なかなかないけん、ちょっと怖そう。
鍛えられると思うけどね、勉強になるし・・・でも入り口としては、やっぱり厳しいよね。「そういうの、ちょっと無理」って人もいるから、そういう人でもラクに楽しめるような、カメラもフィルムでもデジでも何でもいいから、写真が好きだなーって人たちでやりたいなって思って。
―――それが「乙女カメラ部」なんだね。名前は最初からあったの?
最初はノリで、「あたしたち乙女だし、“乙女カメラ”でいいっちゃない?」って。
―――あやこさん、なにげに30は超えてらっしゃったんだけどね(笑)
そうそう(笑) ノリでね。まさか8年も続くなんて・・・「私もう40代だけど乙女カメラです・・・」って。
―――名乗るの、ちょっと恥ずかしい系(笑)
―――(ちひろ) でも、50代、60代になったときは、すごい良い味が出るよね。
そう、今が一番中途半端で恥ずかしい時期(笑)。ちょっとまだ振り切れない、みたいなね。でも80代とかになったら最高じゃない?
―――めちゃかわいい!!
みんな目が悪くなってて、「見えなーい」とか言いながらね(笑)
(ロールカーテンを開けたら階段が、青空が突き抜けて見える!)
◆福岡乙女カメラ部部長、皆勤記録更新中
―――部長には、どんな経緯で?
最初は5人くらいで、「よーし、やろうぜっ!」って、でも「誰がリーダー?」って話になったら、シーン・・・・。
―――ありそう(笑)
あれ、私?みたいな。「えーっと、じゃ、やりましょうか?」って。そのあと、今、副部長をやってるkoumeちゃんが入って。
―――じゃ、ほんと最初から、ずーっと、部長なんだね。
子どもが生まれてからは全然ちゃんとやれてないけどねー。
―――でもメンバーも小さい子どもいる人、多いんじゃない? 年代的に。
独身の人が多いの。子どものいる人もいるけど、やっぱりなかなか参加できなくなるやん? でも私はね、いちお部長だし。
―――手を引けないんだね。
そう、引くに引けない(笑)。
koumeちゃんもけっこう厳しくてさ。父親が亡くなったあとも、出産のあとも、(写真展)休ませてくれないのよ。私が、今回はギャラリーに回ろうかなーって思ってても、「綾ちゃん、(1月に出産したばかりだから)春は無理だよね、でも冬ぐらいならいけるんじゃない?」って言われて、「あ、うん・・・そうよね・・・」って(笑)。
―――ふふふ。休めないね(笑)。
でも、有難いのかもね。
―――背中を押してくれる人がいるから、できることもあるもんね。それに、部長に厳しく言える人がいるって、いいね。部長には誰も何も言えない、って状態は、あんまり良くないもんね。
それで、写真展の季節をズラしたりしつつ。
―――皆勤が続いてるんだね(笑)
そうそう(笑)
―――(ちひろ) お父さんは、息子くんは見られたんですね。
うん、2歳ぐらいまで。父はほんと子ども大好きでかわいがって、面倒みてくれたけん、預けて撮影会行ったり・・・活動も続けられたんだと思う。ほんと、やりたくてもやれない人はいっぱいいるよね。小さい子どもいて、実家も遠くて…だったら、無理やん。私はそこは恵まれてたな、って感謝してる。
◆かわいい名前と裏腹、ストイックな活動
―――カメラ部は、最初から活動内容は定まってたの?
私たちけっこう真面目なんよね。最初、「何を目標にしようか? じゃ、写真展をやろう」って決まって、「じゃ、どこでやろう?」ってのをトントンって決めて。最初の年は、カフェで展示をやったんだよね。で「毎年、一年に一回やろう」ってなって、そうなるとスケジュール決まるやん?
―――逆算していくとね。
「○月にやるなら、このあたりまでに会場押さえないかん」…とかね。今、私は行けてないけど、月1回はミーティングがあって、そこではほんと、飲み食いしない。真面目に、ストイックにミーティングをする。
―――すごい! じゃ、お店じゃなくて、誰かの家で?
「青年センター」ってとこを借りてる。
―――ほっほう、なんか、名前からしてストイック。
登録しておけば、無料で借りれるんよね。結局、飲み食いしたり、誰かの家だと、どうしても雑談しちゃうやん? だからミーティングを先をやって、終わってからごはんに行くの。写真展の前になると、週1回集まる。
―――すごーい。
それやってるから続いてきたんだよね、たぶん。
―――(ちひろ) 今年も、貴賓館とか吉井町とかで、撮影会もやったんですよね。
あ、それはね、私とkoumeちゃんが仕事として受けてるやつでね。
―――写真のレクチャーするんだっけ。
そう、貴賓館は富士フイルムのやつで、こないだの吉井町は九州ちくご元気計画っていう・・・
―――地域の振興みたいな? すごい。オファーが直接きたと?
なんか、西日本新聞の記者さんと、九州ちくご元気計画の人が知り合いだったみたいで、その流れでね。
―――そうそう、新聞でもやってるんだよね! 連載・・・?
月2回、夕刊でね。「わたし活性化計画」ってページがあって、そこの中の「乙女カメラ館」っていうコーナーがあって、写真とタイトルと一言コメントみたいな・・・
(実際の紙面を見せてもらいました。すてき! webでも見られます。ぜひ! → 「乙女カメラ館」 )
これねー、月2回って、けっこう大変で。写真はみんなで回してるけど、新聞社の人とのやりとりとかは私が窓口だから・・・
―――とりまとめ役だもんね。それは大変そう。
でも、これを月2回載せてもらえるのは、すごく有難いんよね。やっぱり、新聞っていろんな年代の人が見てるから・・・。父親もすごい喜びよったんよね。「新聞はずっと残るから」って。
―――そのつながりで、吉井町の撮影会も頼まれて・・・
つながりって大事だよね。
―――大事!! 何年もやってきて、それで育ってきたつながりだもんね。
◆「下がってきたら、上げるために何か考える」
―――ずっと乙女カメラ部やってて、やる気がなくなるときはなかった? 部に対するやる気というか、そもそも写真に対するモチベーションも・・・
下がるよね、それは。だから、下がってきたら、上げるためになんか違うことを考えたりとか。
―――やっぱ、そういう努力をしとるんやー。
ずっと同じではいられなくない? ただでさえ、結婚して妊娠して子ども産んで、独身のときと同じようにはやれなくなって、夜は眠いし(笑)朝は忙しいし、仕事もあるしみたいな・・・ヒマがないなーって思うと、自分のやれる範囲で、なんか楽しいこと考えようかな、っていう・・・。まあ、前向きだね、基本。
―――うんうん。
独身の友だちと時間合わないなら、ママ友でカメラ好きな人いないかな、とか。子連れでできる撮影会とか・・・
―――(ちひろ) 参加したいです!!!
子連れでは、なかなか行けんやん? 土日はやっぱりダンナいるし。だから平日かな?とか・・・そういうふうに物事を考えるほうかな。あんまり深く悩まない。
―――できたらいいねー。カメラに詳しくはなくても、ママって、絶対子どもの写真撮るもんね。教えてほしいっていう人、いっぱいいると思う。
子どもの写真撮るの難しいけどねー。かわいく写っとうのって、たいてい女の子やない? 男の子は言うこと聞かんもん。うちの子もさ、変な顔したり、顔隠したり、「撮るなー!」って走って逃げたり・・・つらい(笑)
―――つらいね(笑)
あたし、写真好きなのに、なんで撮らせてくれないの?って(笑)
◆「卒園することを考えると、今から寂しい」
―――幼稚園のお母さんたちには、写真やってること最初から言ってた?
去年の写真展やるときに言ったのかな。来てもらったりね。すごく仲が良くて、クラスのお母さんたちみんな好き。私ね、ママ友ってもっと大変だと思ってた。ドラマも、なんかやってたやん。見てないけど。
―――あー、怖いやつね! (『名前をなくした女神』かな?)
そういう、めんどくさい付き合いもあるのかなーと思ってて。私ほんとね、幼稚園入るまで、ママ友なんか一人もいなかったよ。公園とかも行かないしね。
―――行かなかったんだ。
毎日同じことをするのがすごい苦手で。子どものためにはいいんだろうけどね、「毎日この時間にお散歩」とか。でも私は今日は天気いいし気が向いたから公園行くけど、今日は買い物に行きたいなとか・・・
―――なんか、地域のやつに行ったりとかは・・・?
行かない行かない。
―――即答(笑)
行ってみたいなーって思うけど、めんどくさいなーっていう。
―――めんどくささが勝っちゃうんだね(笑)
まず申し込むのがめんどくさいしさー。だからね、幼稚園も身構えてたけど、今、なんかすごいいい感じの付き合いだなと思ってる。
―――(ちひろ) 幼稚園にもよるよね。もっともっと、人の噂話で盛り上がるような幼稚園とか、干渉し合ったりするとことかもありそう・・・
―――べったりした、女同士特有のね・・・
―――(ちひろ) ある程度、個人個人で自分をもってて、マイペースに付き合うとかがいいですよね。
そうそう、ちょうどいい距離感。みんな仲良くしてるけど、グループがあるわけじゃなく。
―――みんな大人なんじゃない? や、そりゃ大人だけど(笑)。精神的に・・・
あんまりこだわらないというか、相手に求めてないんじゃない? 求めるとつらいよね、「自分はこう思ってるんだからこうしてよ」「なんでこうじゃないの?」みたいな。そういうのがない。
―――それが、大人なんだよね。
それに、なんかさ、子ども産むと、世界が狭くなるとこない? 私、独身の人たちの前で、気づいたら子どもの話ばっかりしててさ。ハッとして、「こんなこと興味ないよね」って。みんな優しいけん「うんうん」って聞いてくれてるんだけど、「あー私今超つまんない奴だなー」って落ち込んだことが・・・
―――あーーーわかるーーーーー!
でも幼稚園のママはさ、みんな同じことに興味あるやん? 子どものことだったり、予防接種だったり。
―――どーでもいいような子どものネタとかね。
そ、ダンナの愚痴とかさ(笑)、それで救われるなって思った。ここでは、子どものことで心置きなく盛り上がれる。ここに来てよかったなーって。なんかもう、卒園することを考えると寂しくてさ(笑)。
◆すっごく優しいお義母さんと、基本優しいダンナさん(笑)
―――アンケートに、「あんまり良い奥さん、良いお母さんじゃないかも」って書いてたけど。
料理とかもさ、けっこうめんどくさいし(笑)、ちゃんとやれてはないなーって思う。私が良いお母さんだなって思うのは、子どもを中心に人生が回ってるような人で、土日はダンナさんがお休みだから家族で過ごすのが当たり前、みたいな。そういうお母さんの前では、「あたし、写真展に一人で行く・・・」「あたし撮影会・・・」って、やっぱり・・・
―――ちょっと後ろめたい感あるね。
ちょっとね。こういうのが、母親として奥さんとして良いか?っていうと、良くないほうかなーと思うことはあるかな。
―――親の世代とかだったら、「子どもほったらかしで、自分の好きなことばっかりして」って・・・
「なんなの?」って感じよね。うちは、ダンナさんのお母さんが超優しくて。
ダンナがね、お母さんに私のこと「しょっちゅう友だちと出かけてさ・・・」みたいにちょっと愚痴ったことがあるみたいで。そしたら、お義母さんが「いいやん? 私なんかなんにも趣味ないけん、子どもたちが大きくなっていなくなったら、なんにもないんよ? 趣味があっていいやない。応援してあげなさいよ」って言ってくれて・・・すみませんこんな嫁で・・・!みたいな。
―――(ちひろ) うわー優しい・・・・!!
「日曜日に? 一人でどこ行ってるの綾子さん?」みたいなお義母さんだってきるよね、きっと。
―――なるなるなる、普通そうなる。自分が趣味がないのに、そういうふうに言ってくれるのがすごいよね。
―――(ちひろ) ひがみっぽくなりそうなもんなのにね。
―――そんな良いご両親に育てられたんなら、ダンナさんもすごく良い人なんじゃない?
うんまあ、基本はね(含みのある笑い)。
―――姉さん女房的なとこはあるの? ダンナかわいいかわいい、みたいな(註:あやこさんのご主人はだーいぶ年下! ちなみに、うちの幼稚園の卒園生でもあります!)
かわいくはないけど(笑)。うん、でも基本は優しいと思う。いちお、そうやって日曜とかに一人で出かけても、そんなに文句言ったりしないから。
―――それすら嫌がるダンナさんだっているだろうからね。写真展には来るの?
私が「来てね」って言ったら来る程度かな。
―――感想とか言われる?
あんまりないね、「上手だね」ぐらい。褒めることしかしないね、写真に関しては。まあダンナにダメ出しされたら、あたし怒っちゃうかもしれん。「どこが? どこがダメだった? 具体的に言ってよ」って(笑)
―――問いつめるんだ(笑)
そうなりそうだから、ダンナも詳しく言わないのかもね(笑)
(好きな写真集などを見せていただきました。どの写真集もガーリーで素敵!)
(★おわり。)
期せずして、このタイミングで、「福岡乙女カメラ部」今年の写真展が始まります!!
カレンダー販売もあるそうですよー!
興味のある方、ぜひ見に行ってみてくださいね。
福岡乙女カメラ部第8回写真展『Ciel』
2014.11.17(mon)~11.24(mon)
参加者:akemi/ayako/chifuyu/koume/megumi/saeko/yoko/悠
時間:12:00~19:00 ※11/24は17:00まで
場所:Konya-gallery
福岡市中央区大名1-14-28第一松村ビル201+202
TEL:092-984-6292
[編集後記]
インタビュー:エミ
綾子さんって、見かけはホント乙女だし、ほんわかした雰囲気で、声もかわいくて、だから「乙女カメラ部」のこと知ったとき、すごく驚いたんです。サイトを見たら、部員めちゃ多いわ、8年前の記録はあるわ、企業のオファーも受けてるわ、新聞に連載持ってるわで・・・。えー? こんなかわいらしい人が、結婚・出産を挟みつつ、ずーっと部長やってるわけ? 嘘みたいー、って。
だけど、お話してると、写真教室の厳しさについて 「私は平気」 とか、撮影会の場所取りや宣伝のような雑務について 「めんどくさいけど、やりたいことのためにやらなきゃいけないことだから」 とか、すごいサラッと言ってのけるし、めちゃ面白いし(今回もたびたび爆笑)。強くて賢い人なんだなーって思いました。部長めっちゃ適任そう! そして当然だけど、おうちには素敵な写真がたくさん・・・息子さんをモデルにしたカレンダーにキュンキュンしましたー。
でも、かわいい白猫ユキちゃんについて 「ユキは特別かわいいの。特別」 ってデレデレしてる姿は、やっぱりかわいらしい綾子さんなのです。乙女ばんざい。
写真:橘 ちひろ
あ~ドキドキした!いつも以上に挙動不審でなかったか心配です。だって、福岡乙女カメラの部長さんですよ~!カメラ復帰する頃からアレコレ福岡のカメラ事情を調べてみると必ずと言っていいほど「乙女カメラ」の文字は出て来ましたもん。いったいどんなサークルなのか気になっていました。
そして実物の綾子さん思ってた以上に若~い!可愛い!でも話すと面白い!
ざっくりしているのにどっしりしていて素敵なリーダーっぽいなぁって感じました。
そしてドキドキとは裏腹に興味津々写真に関する質問が止まらなかった橘です。(写真に関するトークはまた撮影日記にまとめられたらいいけどな~産前につきまとめられなかったらごめんなさいっ)